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 「あ、紅桜さ〜ん!」
康一君がブンブンと手を振ってくるので、小さく手を振り返す。
現在、私はホテルの近くにある海岸にいる。
波の音が心地いい。
日差しが強いのが残念だが。
「大丈夫でしたか?昨日」
「あぁ、大丈夫だ。康一君こそ、大丈夫だったか?昨日は、その……悪かったな」
「いえ!僕らを助けようとしてやったことでしょ?」
……実際あの時、実弾でうとうとしていたなんて言えない。
なんか上手い事隠し通せてるらしいから、良かった。
「……あれ、承太郎さんと仗助は?」
「あ、えと、あとから来ますよ!」
「そうか」
……煙草でも吸おうかな、なんて思ってあたりを見回すと、
「悪い康一!……あ、紅桜さんじゃあないっスか!」
大きな声でそう言い、手をブンブン振ってこちらに走ってきている仗助と、それを見てため息をついている承太郎さんが見えた。
私は吸おうとしていた煙草を箱に戻す。
「あ、ちゃんと動きやすい服で来てくれたんッスね」
「……ジャージだけどな」
「似合ってるっスよ」
「お世辞か?」
「んなわけないじゃあないっスか!本気っスよ!」
仗助は少しだけ顔を赤くして、慌てたようにそう言う。
可愛いな。
良いな、若いって。
「そうだ、荷物……預かりますよ。そんな荷物持ったままじゃあ、できることもできないッスから」
「いい。……何するか教えてくれ」
「先に荷も
私は手帳を取り出して、ディマンションズに引きずり出させる。
引きずり出したのは、本物に近い銃。
モデルガン、とかいうやつだ。
まぁ、私が生み出したものだから、それに合う実弾を描けばいいだけだが。
「しつこい」
「……紅桜さん」
「なんだ」
「恨みっこは無しっスよ」
仗助の顔が少し怖いものに変わった。
仗助の後ろから、クレイジーダイヤモンドが出てくる。
そして右から、すごい速いパンチが来る。
すごい呑気なように聞こえるかもしれないけど、すごく早いパンチが来たのだ。
あれに当たったら、えげつなくなるのはわかってる。
だから来る前にバリアを張っておいた。
備えあればぬかり……じゃない、
備えあれば憂いなし、だ。
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