Recharge

□【一章】再装填
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学校から出た後、紙飛行機のニュースを見ながら何か思い出せないか記憶を辿っていると、ほんの僅かに思い出せた。

(この事件、かの有名な昴さんが歯ブラシ咥えてるシーンがあるやつだ…!蘭ちゃんが工藤邸で昴さんと初めて会う回!)

冒頭の部分…しかも全然事件に関係ないことしか思い出せていないけれど、とりあえず自宅に向かって走った。




ーピンポーン

チャイムを鳴らすと薫くんが出てくれたので名前を告げると、直ぐにドアを開けてくれた。

「こんにちは!お邪魔しまーす。」

ドアが完全に閉まったのを確認して、薫くんの顔を見る。

「突然ごめんなさい、いま、"大丈夫"?」

「うん、勿論。」

「良かった…ごめんね、連絡もしないで来ちゃって。」

「謝らないで、ここは公子ちゃんの家なんだから気にしなくていいんだよ?」

「それはそうかもしれないけど、お仕事とか色々あるでしょ?
…ところで、秀くんって今いるかな?」

「秀一?……うん、いるよ。」

在宅確認が取れたところで、やはりこの事件は昴さんも絡んでいると確信した。

(……あ、これはもしや。)

真っ直ぐに洗面所へ向かいドアを開けると、そこには歯磨きをしながらこちらを向く昴さんの姿があった。
彼は私の姿を認識すると、驚いたようで目を見開いた。

見た目や雰囲気は"昴さん"だけれど、見開いた瞳のオリーブグリーンに"秀くん"を感じ取り、思わずぎゅうっとしがみつく。

未だに来葉峠でのショックを引き摺っている私を邪険にすることなく、私の頭をひと撫でしてから歯磨きを終わらせて、足元にしがみついている私をひょいと抱き上げた。

「珍しいな、杉下君と約束か?」

「ううん、秀くんに会いにきたの。」

本日二度目の御開眼。
何か面倒事でも持ってきたと思われたのだろうか(強ち間違いでもないが)何かを探ろうとしているようにじーっと私の目を見る。

「えーっと….とりあえずリビングに移動しよっか。」

腕から降ろすようにグイと押すがびくともしない。

「秀くん?」

降ろして、と彼を見上げるも腕の力を緩めるつもりはないらしい。

「リビング行こ?」

「……あぁ。」

返事をしながらも降ろすつもりはないらしく、抱っこされたままにリビングへと向かった。
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