Recharge
□【二章】巡
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事件担当の刑事二人と目暮警部、そしておじさんの4人はお互いの持っている情報を共有しながら事件について話し合っているが、この事件は間違いなく私の知っている事件だった。
事件が解決できそうでホッとする気持ちと、やっぱりこの事件だったのか…と複雑な気持ちを交差させながら引き続き話を聞いていると、コンコンとノックしたあとドアが開く音がした。
「お茶をお持ちしました。」
そう言ってやってきたのは陣平くんだった。
お茶を出す陣平くんを目で追っているとそれに気付いたようで、こちらに顔を向けた。
「どうした?」
「あの…お手洗いに行きたいので場所を教えてもらえますか?」
「あぁ、わかった。」
小さく口の端を上げて笑う姿に私が何かするつもりなのが伝わったのだろう。
私も小さく頷いた。
「どうせあそこで待っててもヒマだろ?特別に案内してやるぜ。」
私がお手洗いから出た後、さも今思いついたような口ぶりで提案してくる陣平くんにニコリと笑いかける。
「わぁーい!本当に?うれしいなぁ!」
「っつー訳で、行ってくるから宜しく。」
そういいながら佐藤さんにひらひらと手を振る陣平くん。
「え?あぁ、わかったわ。目暮警部に伝えておくわね。」
陣平くんがさっさと階段を降りていこうとするので、佐藤さんと女の刑事さんにぺこりと頭を下げて追いかけた。
陣平くんはひっそりとした人気のない場所に着くと足を止め、くるりとあたりを見渡し人の気配を確認する。
安全を確認してから私の目線に合わせるようにしゃがみ込んだ。
「そんで?今回の事件も心当たりがあるんだろ?」
こくりと頷き犯人とトリックを覚えている限り伝えると、陣平くんは褒めるように頭を撫で回した。
「いつもありがとな。後は俺がうまくやっとくから任せとけよ。」
「うん、よろしくね…。」
事件のことはちゃんと覚えていたし、先程おじさんと目暮警部のやりとりを聞いた感じ問題なさそうだろう。
しかし、事件とは別の、悩みともいえないようなモヤモヤを聞いてもらいたくてしょうがなかった。
「陣平くん、ごめん、もうちょっとだけいい?」
陣平くんは一緒目を丸くしたが、優しく受け入れてくれた。