Recharge
□【二章】巡
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ー松田視点
どこか浮かない顔をしながらもう少し時間が欲しいと言われれば頷かない筈がなく、公子中に燻っているものが吐き出せるようにと背中を摩る。
「ん、どうした?」
できる限り柔らかな声でそう聞くと、ポツリポツリと話しだしたのでそれを邪魔しない程度に相槌を打ちながら聞く。
「この事件は本来であれば私が小さくなったばかりの頃に起きていた事件だったと思うの。
今までイレギュラーが起きたり物語を"飛ばす"ことはあっても"戻る"ことはなかったから…なんか…それがすごくモヤモヤしてて…。」
そう話す公子の不安がこちらにも伝染したように、俺にのしかかった。
しかし、迷子にでもなったような姿で縮こまる公子に余計な心配をかけさせられない。
一旦しこりは横に置き、それ以外の言葉を伝える。
「…んなの、イチイチ悩まなくても神サマの気紛れってコトでいいだろ。
話が振り出しに戻ろうが周り道しようがトータルでみれば"目標"に前進。それで十分だろ?」
公子の目に少しだけ力が戻り安心た。
「ほら、行くぞ。」
もしこれから先公子が想定していない出来事が続いても俺達なら大丈夫。
自分にもそう言い聞かせながら、公子の手を握った。