Recharge
□【三章】高校生探偵
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ー世良視点
ボクの記憶の時のままの彼女に会ったからか、はじめて出会った日の夢をみた。
(いい夢見たな…。)
余韻に浸りつつ、懐かしさからあの時吉兄から貰ったTシャツを引っ張り出す。
小さいTシャツの真ん中に達筆な文字で"王"と書かれたそれを女のボクにプレゼントする吉兄のセンスに思わず苦笑いがでる。
(そういえば秀兄はあの後どうしたんだろう…。)
吉兄が海の家で見つけたというこのTシャツ。ボクのは"王"と書かれていて、秀兄のには"将"と書かれていたらしい。
ソレを受け取った秀兄は、ありがとう、とお礼だけ言ってそのままバッグの中にしまっていた記憶がある。
あの時は吉兄からのプレゼントを着ない秀兄にいい印象を持たなかったが、今思えば年頃の青年が着るには微妙すぎるセンスだ。
ボクはあの時まだ漢字が読めなくてわからなかったし吉兄からのプレゼントに大喜びして着ていたけれど、今同じ物を渡されたら嬉しいとはいえ秀兄と同じ反応をするだろう。
…それはさておき。
懐かしい夢を見たのもあり公子ちゃんに会いたくなったので放課後毛利くんにくっついて帰り、探偵事務所に遊びにきた。