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□【三章】高校生探偵
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今回の事件はキャメルさんが現場に居合わせていたらしく第一発見者として状況確認をしていくと、服部くんは直ぐに何かに気付いたようで目暮警部に声をかけた。
「…あのおっちゃん、自殺やのーて殺されたみたいや。
それも、その殺人犯はまだ…この店内におる。」
「服部君!それはどういうことだね?!」
「なぁ、さっきの被害者の言葉こう言ってたんとちゃう?
『阿部ちゃんに毒、盛って殺したんは自分や!せやたら自分…責任とるしかないで!』ってな。」
「そうそう、その口調!
私が聞いたのはその言葉とまったく同じです!」
大阪弁で話す服部くんの言葉にキャメルさんが頷く。
それを聞いた私達は、被害者の最期の言葉の意味を理解した。
「彼は幼馴染の罪を非難し自首を進めたことにより逆上…口封じのために殺害されたんだね。持っていた毒の飴玉によって。」
「せや。
容疑者は被害者の幼馴染…つまり3〜40代の男や。該当しそうなヤツに一人ずつ事情聴取するで。」
「わ、わかった。高木君、今すぐ該当者に声をかけるんだ!」
「はい!!」
高木刑事をはじめとするみなさんのお陰で容疑者は三人に絞られた。
関西人の服部くんが事情聴取をすれば犯人がボロをだすかもしれないと自ら手を挙げて出てくれたけれど…。
「で?今の三人に関西人はいたのかね?」
「さぁ…。」
「さぁって…その為にわざわざ君に事情聴取させたんだよ?」
「まぁわかったんは…みんな辛い料理注文してたっちゅう事ぐらいやな!」
あっけらかんと答える服部くんに、目暮警部と高木刑事は目が点になっていた。
服部くんが二人から離れていくのを追いかけ、小さく声を掛ける。
「……それで、どうだったの?」
「わからへん、言うたやろ。
工藤こそ、なんか気付いたんか?」
「私もまだ何も…。」
犯人は尻尾を隠すのが上手らしい。
他に何か気付けるものがないか、空いたテーブルに座りメニュー表を開いてみる。
「俺も見させぇ。」
服部くんが隣に座ろうとするので少し奥に詰め、メニューを二人で見る。
「カレーとラーメンと麻婆豆腐だよね。
へぇ、カレーと麻婆豆腐は辛さを調節できるんだ。」
「それとラーメンやろ。ラーメンは……醤油と味噌と塩ォ?。」
「あれ…、甘粕さんが頼んだラーメンは"辛かった"んだよね?どうして…。」
「せやなぁ…どれもあり得そうやけど、塩やろか?塩がこん中で一番………?!」
なんだか上手く噛み合っていない会話に、ピンときた。
「そうだ!関西弁の"辛い"は…!」
「そうか、東京弁やと…!」
二人同時に答えを導き出した。
「わかった、後は任しとき。」
そう私に告げる服部くんが、とても頼もしかった。