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□【三章】高校生探偵
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服部くんはどうするのか注目していると、服部くんは元気よく手をあげた。

「すんませーん、店員さん!
まだ犯人探しに時間がかかりそうやし、一旦机の上を片付けてくれへん?」

服部くんの言葉に高木刑事が慌てて止めにはいる。

「こらこら…!まだ証拠になるようなものがあるかも知れないし駄目だよ!」

「ええやん、証拠になるようなモン普通はもう処分しとるって。な!
ほな店員さん、お皿下げてってや。」

あまりにそう促すので、目暮警部も何か思うところがあったのか頷いた。

「わかった。机の上も確認し終わっているようだし、片付けてもらっても構わない。」

「「はい、わかりました。」」

警察からのOKに店員さんが何人かやってきて一斉にお皿の片付けをしはじめた。

「ホレ、自分らも机の上にあるモンくらいほってきや。」

容疑者三人に向けて服部くんが声をかけると…そのうちの一人が使用済みの手拭きを持ちながら立ち上がった。

「…やっぱり自分やったんやな、関西人は。」

「はぁ?!オマエがゴミを…….、っ!」

「せやな、俺が言ったんや。テーブルの上にあるモンを"捨ててくれ"ってな。」

東京の人からすれば"ほる"といえば"掘る"なので意味がわからず二人は困惑していたが、毒がついているかもしれない手拭き<証拠品>を早く手放したかった犯人は好機だと気が緩んだのだろう。
咄嗟に言われた"捨てる"という大阪弁に反応し真っ先に立ち上がった。

「……ちげぇよ、コレはこの前テレビでやってたから覚えてたんだって!」

悪あがきをしているので他に何か手はないかと考えていると『テレビでやっていた』という言葉から閃きが湧いた。


犯人のいるテーブルへと移動し、思いつきを実行する。

「へぇー、そらよう覚えてまんなぁ!にいちゃん頭ええんやろ!」

「…え、ハム子ちゃん?」

凄く訝しげな目で見てくる葵くんに笑いかける。とりあえずそっとしておいてくれと念をこめながら。

「せやけどなぁ、それ以外にも間違うとるところぎょーさんあるさかい教えてたるなぁ!
にいちゃん左でタバコ持っとったけど、ホンマは右利きとちゃいまっかー?
ラーメンの箸、右側においとるさかいなぁ!」

「コラ止め!その喋り方…。」

ちゃんとヘンな大阪弁で話せているらしく服部くんは私の脇腹を突いて止めさせようとしてきた。
それを見てしめしめと思いながら、ヘンテコな大阪弁を続ける。

「ワテこのにいちゃんと話してまんがな!邪魔せんといてやー!
ホレ、にいちゃん、話を戻すさかいちゃんと聞いときやー。
あんさん手拭きで手ェ拭いたんはええけど、毒がついてないか心配やったんやろ?せやから利き手やない……っきゃっ!」

私のエセ大阪弁に怒り心頭といった様子で犯人は胸倉を掴んできた。

「えぇ加減にせぇよコラァ!!!
急にけったいな大阪弁使いよって…どーいうつもりじゃいボケェ!!」

服部くん然り、郷土愛のある関西の人からすれば聞くに耐えられない大阪弁だったようだ。

「おにいさん私よりも大阪弁が上手だね。」

ニコリと笑えば、犯人は自分の行動に気付き項垂れた。
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