Recharge
□間章
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<命日>
それは去年の11月7日。
木枯らしが吹き冬の訪れを感じさせながらも、柔らかな陽射しが心地よさ感じさせてくれる午後。私と陣平くんは萩原さんのお墓参りにきていた。
「………萩、久しぶり。今年も来たぜ。」
「萩原さん、こんにちは。」
6年前に会った萩原さんの顔を思い浮かべながら近況を報告する。
(……、あれ?)
その瞬間、なぜか広場のような場所を思い出した。
(なんでだろ……。)
萩原さんと広場。
特に共通点はないが妙に気になりモヤモヤしていると、突然陣平くんにひっぱられた。
「そうだ!見ろよ公子もついに高校生だってよ。」
「萩にもちゃんと見せてやれ」と言われ墓前に立たされた。
中学も制服だったから流石に羞恥心はもうないが、改めてお披露目しろと言われると無性に恥ずかしい。
「早ぇーよな。萩が会った時は小学生だったんだろ?」
「……そうだね。」
6年前の11月7日。
今も忘れられない萩原さんの命日。
2年前の11月7日。
なんとか陣平くんを助けることができた。
そして"来年"の11月7日。
私が幼児化する年のこの日は、爆弾犯が動く日だ。
この事件に関しては"過去"が捻じ曲がっているので流れのままになるかはわからない。
けれど………。
「陣平くん、聞いて欲しい事があるの。」
絶対に犯人を捕まえると萩原さんに誓ったから。
「ん?なんだ。」
「"来年"の"11月7日"について。」
息を呑む音が聞こえた。