Recharge

□間章
12ページ/13ページ

<命日>


それは去年の11月7日。

木枯らしが吹き冬の訪れを感じさせながらも、柔らかな陽射しが心地よさ感じさせてくれる午後。私と陣平くんは萩原さんのお墓参りにきていた。


「………萩、久しぶり。今年も来たぜ。」

「萩原さん、こんにちは。」

6年前に会った萩原さんの顔を思い浮かべながら近況を報告する。

(……、あれ?)

その瞬間、なぜか広場のような場所を思い出した。

(なんでだろ……。)

萩原さんと広場。
特に共通点はないが妙に気になりモヤモヤしていると、突然陣平くんにひっぱられた。

「そうだ!見ろよ公子もついに高校生だってよ。」

「萩にもちゃんと見せてやれ」と言われ墓前に立たされた。
中学も制服だったから流石に羞恥心はもうないが、改めてお披露目しろと言われると無性に恥ずかしい。

「早ぇーよな。萩が会った時は小学生だったんだろ?」

「……そうだね。」

6年前の11月7日。
今も忘れられない萩原さんの命日。

2年前の11月7日。
なんとか陣平くんを助けることができた。

そして"来年"の11月7日。
私が幼児化する年のこの日は、爆弾犯が動く日だ。

この事件に関しては"過去"が捻じ曲がっているので流れのままになるかはわからない。
けれど………。

「陣平くん、聞いて欲しい事があるの。」

絶対に犯人を捕まえると萩原さんに誓ったから。

「ん?なんだ。」

「"来年"の"11月7日"について。」

息を呑む音が聞こえた。
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ