Recharge
□間章
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<ワタルブラザーズ>
おじさんが警察から捜査協力の要請があり警視庁に呼ばれたので付いていくと、高木さんが出迎えてくれた。
「毛利さん、いつもご協力ありがとうございます!」
「ったく、いつもいつもよォ…。
んで、ガイシャが俺の名刺持ってたんだって?」
詳細を聞きながら廊下を歩いていくと、一室に通される。
部屋の中には既に一人の刑事さんがいた。
その人はどこかで見たことがあるような気がしたけれど名前までは思い出せず、もしかしたら直接話したことはないけれど捜査中に見かけたことがあったのかもしれない。
「お、貴方が毛利探偵ですか!どうぞ宜しくお願いします。」
今回の事件を担当するのは高木さんとこの刑事さんらしい。
もしかしたら漫画で読んだ回かもしれないと、頭を巡らせながら刑事さんの顔を見ていると、パチリと目が合った。刑事さんは私をみてニカリと笑う。
「お嬢ちゃんが江戸川ハム子ちゃんだな。話は聞いてるぞ!」
「よ、宜しくお願いします…。」
一体誰から何を聞いているのか気になったが、わざわざ子供の目線に合わせてかがみながら話しかけてくれるような優しい人なので変な意味ではないんだろうなと思った。
「あ、自己紹介が遅れました、ジブン伊達航といいます。」
立ち上がり自己紹介をし、おじさんに名刺を渡した。
「伊達さんは俺の教育係をやってくれてたんです!」
「コイツまだまだヒヨッコなんで毛利探偵に迷惑をかけちゃいないですか?」
何処か誇らしげに先輩を紹介する高木さんとアニキ感のある伊達刑事。
体育会系の仲良い先輩後輩って感じの雰囲気に二人が良い関係なのが伝わる。
そんなのほほんとした雰囲気が流れたのも束の間、それらを全て吹き飛ばすように荒々しくドアが開いた。
「オイ、高木ィ!テメェ先輩を足に使うとは随分偉くなったじゃねぇか?」
怒気を孕ませながら部屋に入ってきたのは私もよく知っている人物、陣平くんだった。
「えぇ?!ぼ、僕ですか?!」
「アァ?!しらばっくれてンじゃネェよ!このメモ、テメェのだろ!」
高木さんは心当たりがないのか目を白黒させていた。
これは何かありそうだと思い、陣平くんの勢いを止めるべく彼のスーツの裾をクイクイと軽く引っ張る。
「あ、あの、こんにちは、松田刑事さん!」
「ぁあ?!って、オマ…なんで、」
陣平くんは私達が来ていることを知らなかったようで(そして怒りで見えていなかったようで)ビックリしている。
それをみた伊達刑事は大きく笑っていた。
「ハハッ!いい反応だな。」
彼はドッキリが成功して喜んでいるようだ。