欅坂学園

□第一話 始まりの春
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「まもなく4番線に普通欅坂ゆきが参ります。危ないですから……」

四月、最も気合いが入る月だ。僕━━リク・インペリアル━━は駅のホームで息を長く吐いた。……新しい高校。友達できるかな?しかも男子校なんだよね、制服はなかなか良いなって思ったけど。
女子は正直怖い。何されるかわからないから。でも高校は女子の視線を気にせずに済みそうだ。

「西行寺ー、西行寺ーでございまーす」

到着したばかりの普通から数人が出てきた。西行寺駅はなかなか大きな駅だが、朝は欅坂ゆきよりも塩島方面の方が混む。なので、朝夕のラッシュとは逆方向だから、どんな人が次の通勤快速を待つのか、よくわかる。

あの獅子獣人はどんな会社なんだろうか、あの豹獣人は学生かな。でも制服は違うけど……どこの高校なんだろう?あの獣人は……。

「すみません、欅坂学園の方ですか?」

後ろを振り向くと、狼獣人が僕と同じ制服を身にまとって立っていた。視線は同じくらいの位置なのに。なんで敬語なんだろう?でも先輩かもしれないなぁ、ここは僕も━━!
「はい、今日入学します」
「え!?キミも一年生!?」
「そうですけど?」
なぜこの狼獣人はこんなにも喜んでいるのだろう?
「実はオレもなんだ。オレ、デューク・シュトルム。デュークって呼んでくれると嬉しいな!」
「僕はリク・インペリアル、よろしく…ね、デューク君」
「おうっ!よろしくな、リク!」
良かったぁ〜!早くも友達になれそうな獣人がいた!
「実はオレ、ゲイでさ」
いきなりカミングアウト来ました。でも男子校だし普通なんだろうね。
「女子が怖くってさ、ホントに。気がついたら男にしか興味なくなっちゃったんだ」
「女子が怖いのは……僕もわかる……かな」
うん、実際に経験してるから正直に怖い!それがわかる相手が目の前にいるなんて。
「高校でさ、彼氏作ろうかなーって思って。あ、引いたか?別に引いてもいいぞ」
「そんなことないよ!だって……」
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