smbr男主長編

□いくつ?
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 さてさて、それでは早速、僕の自己紹介をば。

 ひょっとして、もう知っているのかな。そうだと、結構びっくりなんだけれど。僕の計画によれば、キミはきっともう僕のことを覚えていないはずだから。

 まあ、いいや。知っていても知らなくても、改めてもう一度。

 僕の名前はキリア。キミが付けてくれた愛称は、キリィ。

 キミや皆のような戦う力は持たない、『この世界』の一般人ですと、僕はここではそう言っておくことにします。実際、こうなってしまうまでは、僕は確かにただのヒトであったのですから。

 これを読んでいけば、僕の言っている意味も、分かると思います。……多分。僕はあまり文章が得意ではないから、少し不安ですが。そこは、キミの解釈に委ねようと思います。


 次に、僕自身の事ですが。髪型、背丈は……まあ、キミの思うように。僕は自分の容姿なんてものには本当に無頓着で、鏡をそんなに見ることも無かったから。

 歳は……これもまた微妙。でも確か、17か、それとも18くらいじゃなかったかな。よく覚えてないけれど。

 ……ああ、そういえばキミに誕生日を聞かれた時に、いつも誤魔化していたと思うけれど。それは実をいえば、僕自身が自分の誕生日を記憶していなかったからなのです。マスターさんは知っていたのかも知れないけれど、まあ今言っても、どうにもならない事だよね。


 こんな話をしている場合じゃなかった。僕には、ここに残しておかなきゃいけない事が山ほどあるんだ。

 それで、まあ、ここからが本題なんだけれど。
 実は。キミに、キミ達に隠していたことがあります。

 きっとキミは、僕を酷く怒るでしょう。そのくらい、大変な隠し事です。きっと、いつかのおやつに街でキミと食べたあの特大パフェを幾つ重ねても、謝罪としては足りないくらい。そのくらい、大変な事です。

 ……こうなってから言うんだから、ずるいってキミは言うのかな。今これを読んでいるキミは、何もわからないだろうけど……こうなる前のキミなら、絶対言うだろうね。

 それでも、良いです。何もかもが、Wいい子Wでいられなかった僕のせい。だから、キミが怒るのも、悲しい思いをキミにさせるのも、しょうがないのです。



 僕のお父さんは、ルキルという名前です。お母さんは、ヨミという名前です。

 そしてその二人はそれぞれ、後にキーラ、ダーズと呼ばれることになり……やがてキミ達と戦うことになったであろう、あの厄災の化身です。


 僕は、父さんであるキーラそのヒトについては、15歳の時、ある夜に知りました。いえ、思い出したと言うべきかな。意識の奥底にかかっていた薄い膜がプツンと弾けたように、本当になんの前触れもなく、それは目覚めたのです。僕があの日偶然早めに部屋に帰っていて、本当に良かったと思います。

 凄く強い雨が、部屋の窓硝子をびりびりと震わせながら窓を叩きつけている、真っ暗で、寒い夜でした。

 涙が、止め方を忘れてしまったみたいに止まらなくて。ぐちゃぐちゃとした気持ちの悪いものが、お腹の底から這い上がって、自分の首を、心臓を握り潰そうとしているようでした。

 何で、僕はあの幼い頃に、父さんと一緒に居られなくなったのか。何で、大好きなキミや、大切な人達を傷付け、世界を壊そうとするのが、よりにもよって僕の父さんなのか。どうして、父さんは僕に何も言ってくれなかったのか。

 ……どうして僕は、皆にこの事を最後まで話せなかったのか。


 最後の一つだけは、僕が今正に思っている事なのですが、まあそれは置いておくとして。


 ─そうなのです。

 皆が、『スマッシュブラザーズ』が、あの場所で……大海原に面したあの崖で、一度壊滅してしまうのを。それを為す敵の名前が、キーラだということを。僕は、あの夜からずっと、知っていたのです。


 ダーズは、皆と同じあの時…一度キーラを撃退し、闇の世界への進軍が始まるその時に初めて存在を知りました。
 僕は一目アレを見て、その声が身体中に響いた時に、また奥底で弾けるような感覚と共に、その本当の正体に、気づいたのですが。……正直言うと、なんの冗談かと思いました。僕はよほど、神様に嫌われるような事をしてしまったのでしょうか。

 話が逸れてしまいました。ごめんなさい。

 兎にも角にも。キーラについては、僕は3年前のあの日から、すべてを知っていたのです。

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