ちょろまつです

□こえ(一松)
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僕はいらない


そう思うようになったのは…

いつからだったっけ?


僕がそうおもうようになってから
周りの人たちは僕に話しかけなくなった。

本当に僕は独りだった。








昔はそれなりに僕の周りにも、
“友達”と呼べるような人たちが集まっていた。




中学に上がる頃、
それまではいつも一緒に行動していた兄弟たちとはじめてバラバラになった。

僕が一人だけ、
別のクラスへと振り分けられた。









そのとき、
はじめて違和感を感じた。





兄弟たちと別れた僕の周りに、
“友達”と呼べる人たちは1人もいなくなった。


改めて突きつけられたようで、



あぁ、僕じゃなくて他の奴ら(兄弟)が目当てだったのか…



そう思った。










それからは、
周りとも関わらずひっそりと生きようと思った僕は、



周りを見なくてもいいように視野を狭くして、



言葉を言わなくてもいいようにマスクをした。



そうすることで
周りから孤立していった。

もちろん、兄弟たちも
僕に話しかけなくなった。










誰とも口をきかず目を合わさず過ごして、
嫌でも慣れてきたころ、



久々に弟が話しかけてきた。

あいつはたわいもない話をずっとしていた。
僕は聞くだけで一言も喋らなかった。


それを不思議に思ったのか
あいつは、



“兄さんの声が聞きたい”


と、いってきた。







あいつはじっと僕を見つめるだけで何も喋らなくなった。



何を喋ればいいの?



本当に僕の話を聞いてくれるの?



いろいろごちゃごちゃで
ワケがわからなくなったけど、

あいつが諦めないから僕は久しぶりにマスクを外してあいつと話した。





普段はうるさいのにただじ、と僕の話を聞いてくれた。


それが無性に心地よくて、気づけば関係のないことまであいつに話していた。










僕の話が終わるとあいつは満足そうに笑い、



“やっぱ兄さんと話してたいよー、これからも話そうね”



といってきた。










話せた…

僕の話を聞いてくれた…

嬉しい…







そんな感情がふつふつと湧き上がってくる。


人と話すのはこんなにも大切なことなんだ……
と、はじめて知った











独りでいるのは構わないけど…

“話す”ことは大事な、大切なこと

話さなくても生きていけるけど、

独りより孤独…





孤独にならないように…

独りから逃れるためにも…

話、会話は必要



話せばそれに答えてくれるひとが必ずいる



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