本編編
□添い寝
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「ヴィンセントー?居る?」
そう言ってユフィがヴィンセントの部屋に入り、ベッドに入ったヴィンセントの隣に忍び込んで来た。
「今日はどうしたのか?」
「ここで、本読んでいい?
エアリスもティファも早く寝ちゃうから楽しめないんだ。」
「だから、何故ここへ?」
「ほら、どーせシドのオッさんたちは朝まで酒盛りだろ?で、アンタは絶対読書で起きてるから、読書にゃ最適じゃん」
「はあ。それにしても、そのハダけそうな服で男の部屋に来るか?」
「だって、ヴィンちゃんはおじーちゃんだから大丈夫。ってケットシーも言ってたよ。」
「全く仕方のない奴だ。読書だけだぞ。 終わったら帰れ。」
「ヤター!ヴィンセント大好き」
ユフィはヴィンセントに抱きつき、頬にキスした。
「こら。いきなりキスをするなと、
何回も言ってるのだが?」
何故だろう、この少女は出会った頃から、この姿の私を恐れるどころか、仲良くなろうと、散々話しかけてくれたり、抱きついたり。ひどい時は頬にキスしたり腕に胸を当てて来たり…。
とても16歳の少女のやることとは思えない。いや、エアリスやティファすらいくらクラウドが好きでもしてはいないだろう。こんな事。貞操観念が低いのか・・・。
こんな私に興味を持つなど、決して許される事ではない。早く辞めさせなければ…。そう思っていたのに、気づくといつも彼方のペースに陥る。
元タークスともあろう男が…。
それとは、無関係にユフィは自身の持ってきた雑誌を読んでいる。
「読書じゃないのか?」
「読書だよ!これも大事な情報源。」
「言ってる意味がよくわからないが…。」
「ねえ、ヴィンセントの初体験ていつ?」
「は?な、何をいきなり…。」
「元タークスさんでしょ?やっぱり早かった?」
「な、なんの話だ?」
「だーかーらー、初めてエッチしたのいつ?アタシさ、生き遅れてるんだ!
イマドキ女子はアタシより早くに非処女になってる…。」
「そ、それは大事にしなければならない。というか、そんな話をすること自体間違ってるぞ。ユフィ。」
「大事にしすぎて、一生…とかヤダよ。それなら、手頃なところでしとかないとさつまんない…。」
「そういう問題ではないぞ。」
「なんなら、アタシとしてみる?
一緒に卒業しようよー」
この少女は、さっきからするとかしないとかいう話ばかりを・・・ここに男がいるというのに・・・無防備すぎる。私だからいいものをこれがほか年頃の男なら、迷わずユフィは襲われるだろう・・・。
気がつくとユフィはスヤスヤと寝息を立ててヴィンセントの傍らで眠り始めた。酷く安心しているのか、起こしてもビクともしない。
ちょうど其処でシドが帰って来たが、
シドは泥酔していて、ユフィには気づいてなかった。
しかし、酔っ払いにハダけそうな衣服のまま眠るユフィを見せるのも危険かと思い、布団を掛けてあげた。
そのせいで一つ布団でユフィと寝るハメになった。ユフィが寝返ってはヴィンセントの身体にユフィの肌が触れる。
(あたたかい…)
ユフィの体温が心地よく、自身も気がつくとぐっすりと眠っていた。こんなにも熟睡したのはいつ振りだろうか?
「おーい、知らない間に裸の女連れ込んで何してんだよ?ヴィンセントは。」
翌朝シドに起こされた。
隣には完全にハダけた姿で眠るユフィが…ヴィンセントは焦る。
「いや、シドこれは誤解だ…」
ヴィンセントが否定をしたのもつかの間
「こらー、シドー?こっち見んな!アタシたちの邪魔すんな!」
ユフィがヴィンセントの腕で胸を隠してシドにくってかかった。
「くはははは、オレが邪魔だったかよ。お二人さん!じゃあリーダーさんに言っとくよ。次から宿屋に来たらユフィとヴィンセントで部屋取るようにってな。」
「ほんと?そしたら気兼ねなく読書出来る!」
「ああ、言っといてやるぜ。
ホラよ、避妊はしっかりしとけよ。
乗り物酔いの上にツワリなんかされたらたまったもんじゃねえ。」
シドから渡されたモノをしかと受け取ってユフィがシドに言う。
「ありがとう。しっどー。
あれ?どしたのヴィンセント?
顔色悪いよー。」
ヴィンセントは頭が痛かった。