DC後

□最期の戦い
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ねえ、ヴィンセント?どうしてこんな所にいるの?


気がつくと、私はまぶしい光の中に居て、目の前にはエアリスが立っていた。


ということは、私は死んだのか?世界は?どうなったのか?

あなたは、まだここに来るべきではないわ、あなたを待っている人がいるわ


待っている人・・・?ルクレツィアか?


違うわ。私の全然知らない人。


それは・・・?


それを確かめないとね。


そうして、また私はふっと闇に落ちた。気がつくと私はルクレツィアのあの祠に居た。


あのライフストリームの中でカオスが私の身体から離れていくのはわかったのだが・・・


身体はなんともない。不老不死は変わらないままなのか?私は私の身体のことを知らなすぎるな。


目の前にいるルクレツィアを見た。


何故だが、とても清々しい気持ちになりルクレツィアに感謝の気持でいっぱいだった。

生きてほしい。それが願いなら生きていこう。そう誓った。そして、私も前に進もうと思ったのだ。


* *



オメガとカオスが星に帰り、一週間が経った頃、ヴィンセントがいつ帰ってくるかも解らないからと、リーブのおっちゃんからアタシに連絡があった。
残務処理を手伝ってほしいと。

ウータイのことは、一段落ついていたこともあってアタシは正式にWROのメンバーとなった。

そして社宅も借りて、晴れてエッジで一人暮らしをすることになったのだ。

それから二週間アタシは激務に追われていた。ヴィンセントを探すどころじゃなかった。

だけど、ミッドガルに落ちていた、アイツの大事なケルベロスのレリーフだけは肌身離さず大事に預かっていた。いつ、帰って来てもいいように。

そして三週間がたったころ、ようやくシェルクがヴィンセントを連れてセブンスヘブンへ来るとリーブに連絡が入った。

アタシは走りながら、みんなの携帯電話を鳴らし、セブンスヘブンに急いだ。

セブンスヘブンでティファと一緒に食事の用意を手伝っていると、ふと、床で寝そべっていたナナキが起き上がった。

「ヴィンセントだ!」

ナナキの嗅覚はすごい。もうヴィンセントの気配を感じていたみたいだ。

そして、セブンヘブンのドアは最近新しくなったんだけど、その新しいドアを開けて、ヴィンセントが中に入って来た。

みんなが揃っている事を確認すると、少し恥ずかしげに口角を緩め、ヴィンセントは小さく「ただいま」と声を出した。

気づくとアタシはヴィンセントの目の前まで飛び出して、ヴィンセントに飛びついて、抱きついた。

「お帰り!!」

本当は、遅い!とかバカ!とか、これまで溜めて来たイライラをたくさんぶつけようと思っていたのに、その言葉しか出なかった。それで、最後には結局は涙が出ていた。

泣くもんか!そう思っていたのに。

「ユフィ・・・。どうして、泣いているのだ?」

「アンタが無事で帰ってきてくれたからにきまってんだろ!」

「そうか・・・。それよりも、ユフィこそ怪我は無かったのか?」

「アタシの心配はいいよ。アンタが助けてくれたから・・・。だからこそ、アンタにもしもの事があったらって・・・。」

「大丈夫だ。私は不死身だ。」

そうだ・・・、他の事で頭がいっぱいになっていたけれど・・・この人はそうだった。この人は・・・。

「あ!そうだ。これ!渡さなきゃと思ってずっと持っていたんだ。」

ユフィは、ケルベロスのレリーフを差し渡す。

「アンタにはこれだろ!」

「こ、これは・・・。」

「これ、落ちていたんだ。クラウドが見つけたんだけどさ、アタシに預かっておけって・・・。」

「そうか、ありがとう。ユフィ。」

「大事に持ってたんだからね!」

アタシとヴィンセントの会話が途切れたところでリーブがヴィンセントに話し始める。

「明日、ヴィンセントの身体検査をWROで行いたいと思います。身体に変化があったのなら、知っておいた方が良いと思いますので。一度、来ていただけますか?」

到って真面目にリーブはヴィンセントに残務処理もやってほしいが、まずは身体検査をしてほしいと言っていた。それにはアタシも少しの希望を掛けた。

「おいおい、オレたちを忘れんなよーー!」

「そうだそうだ!!」

シドとバレットが大声を出して、アタシとヴィンセントをテーブルへと誘う。

クラウドがマリン、デンゼルを連れて2階から降りて来たところで、ひとまず乾杯した。

ヴィンセントは終始、シドとバレットに囲まれて大変そうだった。

アタシはひっそりカウンターに移動して、楽しそうに話すみんなの様子を眺めた。

これだ。これが・・・・。好きなんだ。

「よかったわね。ユフィ。」

キッチンで仕事を続けるティファがユフィに話しかけた。

「うん。また、みんなで集まれてよかった。」

時刻は24時を回った。
リーブとシェルクは早々に明日の仕事の準備のため、帰っていた。

クラウドは子供たちを連れて2階に戻り、寝かしつけを。

ナナキも最近はここに住み着いてるので、一緒に2階に。

シドとバレットも酔いつぶれながらも帰って行った。

ティファの片付けを手伝っていると、ティファはヴィンセントをカウンターに呼んだ。

「せっかくの再会なのに、私、ヴィンセントと全然しゃべってなかったよね。」

「ふっ・・・。そうだったな。忙しくさせてしまってすまない。ところで、クラウドとはどうだ?」

「そうね。前に比べたら、すごく落ち着いているわ。仕事も順調よ。」

「そうか。」

「あ、そうそう、ユフィがね今エッジで一人暮らしを始めたのよ。」

「そうなのか?聞いていないな・・・」

「アンタいない間に決まったんだ〜。その間、アンタの代わりに仕事大変だったんだよ。」

「そうだったのか。」

「ま、正式にWROの一員にもなったし、給料も社宅もあるから、いいんだけどねー。」

「ウータイの方は?」

「修行はひと段落したよ。ま、オヤジも元気過ぎてまだまだ引退しないから、まだまだかなあー。」

「ゴドーさんて、まだ、50才でしょ。ヴィンセントよりも若いのね。意外!」

「そうだよね。ヴィンセントは見た目27歳だからサギだよね。」

「それは、すまなかったな。」

「そうだよね。相変わらず、色男だよねー。あ、ねえ、もうこんな時間だけど、ヴィンセントここ泊まる?」

「そうだな・・・。ここに泊まるとティファが、大変だろう。私はユフィを送ってそのまま自宅に戻ろうか。」

「じゃ、うち来れば?どーせ、明日WRO行くんでしょ?今から、カームの家まで戻る?めんどいよー。」

「では、そうしようか。」

「え、いいの?」

「なんだ、冗談のつもりだったか?」

「いや、でもホントに明日早いだろうから
・・・」

それで、なんとなくの流れでヴィンセントはウチに泊まる事になった。

「せっかくだから、ヴィンセントといろいろ話したいかな」

ティファからテイクアウトのお酒とつまみを渡され、それを持ってアタシは自分の家へヴィンセントを招き入れた。

「ほう、部屋がキレイだ。」

「掃除出来ないと思ってただろ?」

「すまない。そういうイメージがないからな。」

「しっつれいだな!相変わらずだね。」

「だが・・・、お前も一人暮らしをするくらいのオトナになったんだな。」

「へへ。もうすぐハタチだもん!」

「そうか・・・。もうそんなに時が経つのだな。」

「そうだね。あんたは今も変わらないけど。便利でうらやましいよ。ささ、座って!お風呂つかってもいいし、楽にしていいよ。」

アタシたちはテーブルに向かい合って座り、会話を続けていた。

どんなにアタシが一方的に話していても、ヴィンセントは必ず話を聞いてくれてて、変な方向に行くと鋭くつっこんでくれて、なんか、それが心地いいんだ・・・。どうしてなんだろう。

「アンタにさ、いろいろ聞きたかったんだ。ルクレツィアさんに、ちゃーんと伝えた?シェルクが心配していたよ。」

「ああ。大丈夫だ。」

「ほんとかなー。」

「何故だか、ユフィには信用してもらえないのだな。私は・・・。」

「だってー、嘘つくの下手なくせに嘘つくじゃん!あ、またルクレツィアさんに嘘ついてないだろーな。」

「私は嘘はついていない。それよりユフィ?お酒飲んだのか?少し悪酔いしているぞ。」

「いいじゃん!今年でハタチですから!それより、質問にこたえて!アンタの身体の中のカオスはどうなったの?魔物たちは?」

「大丈夫だ。アレ以来、カオスには変身しなくなった。だが、本当の所は私にも解らない・・・。」

「えーー。それは早く身体調べてもらった方がいいよ!あとさ、ルクレツィアさんの事、どうするの?出てくるの待つの?」

「・・・。もう会わない。」

「え?うそーー、アンタは生涯に一人しか愛せない男だと思ってた。出てくるのを待って・・・とかすると思った!」

「ルクレツィアとの事は、今回の事でケリがついたからな。これ以上は引きずらないで、生きてみようと。」

「えー、凄い進歩じゃん!ねえ、じゃあ、どうすんのこれから?」

「とりあえず・・・仕事を・・・。留守の間にたくさんの着信が携帯に入っていた。お前のもあるが、リーブからも。」

「そっかー。おっちゃん、アンタにも声かけてたんだね。じゃあさ、WROで一緒にはたらこ!」

「そうだな。それも悪くない。」

「なんか、不思議だね。アタシとヴィンセントが同じ所の同僚とか。あ、アタシがセンパイかな?」

「ユフィがセンパイだと、いろいろ面倒だな。」

「それ、どう言う意味だ!」

「そういう意味だ。」

その日は結局話が長くなって、眠りにつくのは遅くなった。それぞれお風呂に入ってから、眠りについた。ヴィンセントには、ベッドで寝てもらおうとしたけど、何故か遠慮してソファーで眠ってしまった。なので結局アタシがベッドで眠った。

翌日、ヴィンセントは早く起きて、WROに向かった。そこで身体検査を受けたんだけど・・・結果は・・・。

何も終わってなんていなかった。ううん。確かに、カオスはいなくなってるって。でもエンシェントマテリアが体内に残っていて、それから三体の魔物たちも残っていて、そのせいで不老不死の身体には変化がない・・・・。それが答えだった。

ヴィンセントはあっさり、そうかと言うだけでそれ以上表情を変えたりもしなかった。本人はそこは諦めているのかなあ。

それでもなあ、そこが重要なんじゃないかって思うんだ。

人間として生命として、血が流れてて、息をしていて・・・鼓動を感じられる・・・それから・・・。

ヴィンセントが前に胸に穴が開くほどの大けがをしたとき、血は出ていなかった・・・。

血液流れてないのかな?疑問点は多過ぎて。アタシにはよくわかんないや。

そんな中、ヴィンセントもWROへの参加を決めた。家もエッジに移して、アタシの家の近くに越して来た。
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