ヴィンセントとユフィの365日 本編編
□再会は突然に
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あれから、随分と時が経ったようだが、未だに忘れることが出来ない。
私がこの神羅屋敷に眠ることになって三十年の年月が経ったが、この神羅屋敷に迷い込んで来た少女が居た。
ただ一瞬の出会いだったのに、その少女はクリスマスイブの日にわざわざ私に会いに来てくれた。
彼女は私を振り回すだけ振り回し、去っていった。だが、その後も私の胸の隙間にその少女が残っていて苦しくなる。
私にはさらなる罪と罰が与えられたのだろうか。
急な光が差し込んで来て私は起こされた。
「ヴィンセント!」
目を覚ますと、目の前にあの少女が居た。まさか、もう二度と会うことはないはずなのに。
「ねえ、ヴィンセント?」
その少女は何度も私の名前を呼ぶ。
「あのね、クラウドたちと一緒に行かない?アンタ強いでしょ?」
その少女は、私の頭の整理が出来ぬうちに次から次へと話しかけてくる。
彼女の後ろには金髪のチョコボ頭の青年、浅黒の大男が居た。
「ふーん、ユフィこんなのと知り合いなのか。おったまげたな。」
浅黒の大男は言う。
「うーうん。違うよバレット。そんなんじゃないよ。」
「そんなことより、セフィロスを追っているのだが、アンタは神羅屋敷にいるということは、何か知ってるのか?」
チョコボ頭の男はクラウドと名乗った。そして、星のこと、セフィロスという男を追っていることを話してくれた。
セフィロスという名前を私は知っていた。
そして、クラウドという男は元神羅のソルジャーと言っていた。
「奇遇だな。私も元神羅の元タークスだ。」
チカラになれると思った。何より、ルクレツィア・・・、そして宝条に確認したい事が山ほどある。
クラウドはユフィがヴィンセントと知り合いなら、コレ説明しておけよとクラウドは、PHSとマテリアを渡した。
そして、クラウドとバレットは早々と部屋を出て行った。
「クラウド、適当だねぇ。」
ユフィは愚痴をこぼしながら、私にマテリアの装備方法を教えてくれた。その説明はとても、的確でわかりやすいものだった。
そして、PHSというものも。私は機械が苦手だ。だが、ユフィは丁寧に教えてくれた。
「そういえば、アンタっていくつなの?」
「眠りについたのは30年前・・・。27ぐらいだったかな。」
「ふーん。じゃあ本当は57歳なの?それまでずっと寝てたの??信じられない。」
急にユフィは私のことを聞いて、驚き始めた。
「私は、ただ寝ていた訳ではない。」
「罪とか罰とかでも、そんな寝れないなーアタシは。」
「この身体は不老不死、そして、身体に魔獣もいる・・・。人間とはかけ離れてるんだ。本来なら表に出られるような状態ではない。」
「うんうん。凄いね。」
「そこは、怖がる所だと思うのだが・・・。」
「全然平気!うちの親父も似たような所あるし・・・。アンタの目は優しそうでスキ。」
「似たような所?」
「オヤジのことなんて、どうでもいいだろう!」
「・・・。ユフィ、私は優しくなど・・・。」
「アンタって暗くて誠実で、でもどこか抜けてる気がする。」
「・・・。」
「誠実すぎるから、背負いこみすぎるんだ。だから、アンタみたいなのは、アタシといると丁度いいと思う。アタシ、正反対だから!」
ユフィは私に笑顔でそう話す。私のことを全て見透かしているようだった。出会って間もないというのに・・・。だが、それには嫌な気はしなかった。
神羅屋敷を出ると外は強い陽射しが眩しかった。
「そういえば、クリスマスイブは雪だったよねー。」
ユフィはつぶやく。あの夜のことを、ユフィはどう思っているのだろうか?クラウドたちの待つ、宿屋へと着くとロビーにはみんな揃っていた。
一人一人の自己紹介を経て、私も自分のことを少し話した。他の者たちは私の見た目、それから不老不死のことは、やはり少し奇異に思うのだろう。
だが、ユフィは違かった。
あどけなく、無邪気に言う。
「ヴィンセントよろしくね。」
この少女は、まだ知らない。私の本当の姿のことを・・・。その姿を知ったらどうなるのだろうか?
今はこうして、優しく接してくれているが・・・。それが心配だった。