暗殺の学舎
□Assassin
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1日は、号令とともに教室を満たす銃声の音から始まる。
「気をつけ...!!」
タコのような触覚を持った生物が教室に入ってきて、日直が号令を叫ぶ。
それと同時に私達は銃を構えて、標的であるその物体に集中する。
「れーーーーい!!」
そして、一斉に銃をうちだした。
「発砲したままで結構ですので出席をとります、磯貝くん。」
この異常とも取れる行為は、つい先週の出来事。
三年生の始まりに起きたことによる。
月が半分、何かしらの原因により蒸発した。
『初めまして、私が月を爆った犯人です。』
そう言ってやってきたのが、この教室の担任でもあるタコのようなこの標的。
これが教室にやってきて、最初にそう言った時、まず5、6個突っ込ませろとクラス全員が思ったことだろう。
そして次に、防衛省の烏間という男性が、私たちにこの怪物を暗殺をして欲しいと言った。
もしもこの怪物を殺すことができれば成功報酬は"100億円"だそうだ。
私たちには無害で、この怪物には有害である武器を渡されて、かくいう私もこの怪物を殺すためによく分からないまま暗殺行為を繰り返してきた。
今日も、この怪物を殺すことはできなかった。
昼休みに、怪物こと先生は中国の四川で麻婆豆腐を食べると言って窓から飛び出して言った。
私はそれを見て、机に頬杖つきながら前の席の綺羅々に声をかける。
「……先生ばっかりズルイね。」
「…本場の味、1度で良いから味わってみたいわね。」
狭間綺羅々。可愛らしい名前とは裏腹に、見た目と話し方が暗い女の子。
それでも、私がこのクラスに来てからとても仲良くしてもらっている大事な友達。
「てか何気に教えるの上手いよな〜。」
そう言った誰か。
綺羅々と話しながらお弁当を食べていると、聞こえた言葉。
確かにあの先生はとても教えるのが上手い。
苦手な教科や得意な教科をそれぞれ自分たちのレベルに合わせて教えてくれる。
今まであった先生の中で一番と言っていいほど教えるのがダントツで上手い先生だ。
「……でもまぁ、俺らには関係ないけどな。」
私たちがいるこのクラスはE組。
エンドのE組だ。
end、終わりという意味。
成績が悪い人、素行の悪い人が落ちてくるクラスがこのE組。
私たちは皆、一人一人どこかにコンプレックスを抱いてこのクラスに落ちてきた。
「(わたしはE組楽しいと思うけどな…)」
そう思っていたとしても、現実とはうまくいかないもの。