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□荒治療はいかがです?[恋次]
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私は最近真央霊術院を卒業した西園寺菜桜です。所属は四番隊。
正直戦闘には向いていないので四番隊は自分に合っているし凄く居心地がいいのですが…。
私には四番隊に居続けるには克服しなきゃいけない事があります。それは…
「西園寺さん!!人手が足りないの。こっちの治療お願い出来る?」
『は、はい!!』
私は席官の指示に従って処置室に入った。するとそこには…たくさんの怪我人がいた。
「西園寺は…こっちの治療を頼む!!」
私が目を向けるとそこには…数人の男性隊員達が椅子に座っていた。
『!!!』
…そう…私が克服しなきゃいけない事って…男性恐怖症。怪我をした隊員達が一斉に私の顔を見た途端、急に体が震え動けなくなった。
そんな私を男性隊員の一人が訴えた。
「あの!!僕たちは大丈夫です!!先にこっちを見てくれませんか?」
そう言ってベッドで横になってる人を見ると、明らかに苦しそうにしている患者さんがいた。落ち着きを取り戻したくて深呼吸をし、
『わっ…わかり…ました。』
恐る恐る近づき、患者さんの顔を見ないようにして私は手をかざした。それから、一人ずつ治療し、終わった時には処置室は静けさを取り戻していた。
私が片づけをしていると後ろからから花太郎さんが声を掛けてきた。
「西園寺さん。卯の花隊長が呼んでましたよ?」
『あっ…はっ…はい。』
私は俯きながら返事をした。
卯の花隊長がいる隊首室へ行くとまだ隊長は部屋には居なかった。とりあえず部屋の前で待機することにした。しばらく待っていると卯の花隊長がやって来た。
「菜桜。少し待たせてしまったわね。こちらにお入りなさい。」
『はっ…はい。……失礼…します。』
私の顔をじっと見つめ、卯の花隊長は穏やかな口調で話始めた。
「先ほどは大変でしたね。菜桜、四番隊は慣れましたか?」
『はっ…はい…。でも…』
私が俯くと卯の花隊長は私に近づき優しい笑みを浮かべた。
「悩みがあるなら言ってごらんなさい。」
『はい…。私は…今まで患者さんの治療は、すべて女性隊員ばかり担当してきました。でも今回人手が足りなくて私は男性の患者さんを治療したのですが…全然集中出来なくて、他の患者さんを随分待たせてしまいました。
それに皆さんに甘えていました。女性患者さんを私に回してくれて、それが当たり前になっていて…私は自分から克服しようとしませんでした。このままじゃ…私…』
私は涙をこらえて話した。
「…菜桜、もしも貴方が良かったら、浮竹隊長の担当になってみませんか?」
『…えっ!?わ…私が…ですか?』
「えぇ。担当と言っても、回復や補給、薬を届けたり少し話相手になったり、その程度で良いのです。
いきなりたくさんの男性を相手するより、まずは浮竹隊長と緊張せずに話が出来るようになれば、少しずつ男性に対する恐怖も薄れるでしょう。」
『……私!!やってみます!!』
「浮竹隊長には私から伝えておきます。明日からお願いしますね。」
『はい!!』
私は自分自身を変えるチャンスだと思った。
卯の花隊長が私を変えるきっかけを下さったんだ。明日…頑張ってみようと心に決めた。
次の日私は浮竹隊長へ挨拶に行った。虎徹三席が私を浮竹隊長の部屋まで案内してくれた。
「西園寺さん、今日から浮竹隊長の担当になったんだね。」
『はい…でも…私…ちゃんと出来るか…自身ないんです。』
「大丈夫だよ!今日は挨拶だけだし、そんなに緊張することはないよ!」
『そう…ですよね。』
虎徹三席の励ましで、私は深呼吸をし浮竹隊長が居るであろう部屋の前に立った。
「…浮竹隊長、虎徹です。西園寺さんをお連れしました。」
「ありがとう清音、入りたまえ。」
虎徹三席が優しく背中をポンと叩いてくれた。私は最初が肝心と、大きな声で挨拶をした。
『し…失礼…します!!』
しかしあまりの緊張で声が裏返ってしまった。そんな私を見た浮竹隊長は
「そんなに緊張することはないよ。さぁお入り。」
そう言って私を部屋に招き入れた。
『は、はい。…あ、あの…浮竹隊長の…担当を、する事になりました、四番隊西園寺菜桜です…。よ、よろしく、お願いします!!!!』
勢いよく頭を下げると最初はビックリしていた浮竹隊長が笑い出した。
「あ…あはははは…元気がいい挨拶だね。」
私は恥ずかしさで顔を真っ赤にして俯いてしまった。
「そんなにかしこまらなくてもいいさ。明日からよろしく頼むよ。菜桜ちゃん。」
『!!!』
急に名前を呼ばれて緊張した私は固まってしまった。それを見た虎徹三席は
「そ、それでは浮竹隊長、西園寺さんと先に戻ります。」
虎徹三席は放心状態の私の腕を引き、部屋を後にした。
「いきなり名前で呼ぶのはまずかったかな…。」
浮竹は苦笑いをし、二人が出て行ったドアを見つめていた。