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□君との時間[一護]
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一護は久々に尸魂界へ来ていた。今日の瀞霊廷は騒がしい。
何でも空座町の担当がどう…とか?俺はそう言うのさっぱりわかんねぇし、誰が担当だろうが今まで通り死神代行する訳だし…
とりあえず暇つぶしに恋次のとこでも行こうかと、六番隊に向かっていたら後ろから声を掛けられた。
「いたいた。やっと見つけたぜ。」
「おぅ、恋次じゃねぇか。」
すると恋次がニコニコ…つうよりニヤニヤした笑顔で寄ってきた。
「一護、今回の空座町の担当死神、誰だか知ってっか?」
「あぁ?そんなん誰でもいいじゃねぇかよ。…つうか、くっつくなよ気持ち悪い。」
一護の肩に腕を組み近づく恋次に眉間に皺を寄せて嫌な顔をした。それでも恋次はお構いなしに話を続けた。
「実はな、さっき決まったんだけどよ…菜桜が行くことになったんだぜ。」
「!!!……そ、そっか…。」
菜桜という名前を聞いて一護の表情が変わったのを恋次は見逃さなかった。
「お前…やっぱり菜桜の事好きだろ。」
「な…何だよ急に…。恋次には関係ねぇよ。」
恐ろしく勘が鋭い恋次に一護は平静を装い答えた。
「いや…別にいいんだけどよ、何つうか…お前も物好きだなって思ってよ。それより…今回何で菜桜が担当になったかわかるか?」
「本人が行きてぇって言ったんじゃねぇの。」
「それもそうだが、俺が推薦してやったんだぜ。」
「へぇ〜…そうかい。」
当たり障りのない返事をしてごまかす一護に
「あのな〜一護、折角菜桜との仲を取り持ってやったんだぞ?感謝して欲しいくらいだぜ。」
不満そうに答えた。
「誰も頼んでねぇだろうが。」
そう言いながら一がは興味が無い態度を取っていたのが気に食わなかった様で、一護に文句を言おうとしたが、ある人物がそれを遮った。
『あれ?恋次さんと…一護さんじゃないですか。』
噂をしていた張本人がやって来た。
「お…おぅ…。」
一護は軽く挨拶をすると恋次が菜桜に向かて話しかけた。
「菜桜、明日から頼むな。」
『はい!!恋次さんとも当分お別れですね。何だか寂しくなりますね。』
「その割には何だか嬉しそうだけど?」
『えへへ///だって現世でやりたい事たくさんあって…今から楽しみなんですもん。』
「お前なぁ…遊びに行くんじゃねぇんだぞ?」
『わかってますよ。任せて下さい!!あっ、恋次さんには現世の鯛焼き、お土産で買って来るので楽しみにしてて下さいね。』
「おぉ!!んじゃお茶用意して待ってっかな。」
恋次が菜桜の頭をポンポンと優しく叩くと、菜桜は嬉しそうな顔で恋次を見ていた。
…何だよ恋次の奴。俺の前でいちゃつきやがって…。一護はすげー不機嫌な顔で見ていたら、恋次が菜桜の背中をそっと押し一護の前に向き合わせた。
「つうことで…一護、明日から菜桜をよろしくな。」
『一護さん、よろしくお願いします。』
ペコっとお辞儀をする菜桜がすげー可愛かった。
「あぁ…よろしく頼むな。」
ニコっと笑顔を返されると、一護は心なしか顔を赤らめていた。
「俺はそろそろ戻るぜ。朽木隊長からどやされっからよ。」
「おぉ…。」
恋次は一護と菜桜に手を上げ六番隊隊舎へ戻ろうとしたが…ふと何かを思い出した様に急に一護の元へ戻って来た。そして一護の耳元で呟いた。
「一護…菜桜に手ぇ出すなよ…」
「/// そっ…そんなんする訳ねぇだろ!!」
一護の真っ赤な顔を見た恋次はニヤニヤしながら隊舎へ戻って行った。菜桜は一護の顔を覗き込むと一護はハッとした顔をした。そして菜桜は言いにくそうにモジモジした。
『あの…私、今配達の途中なので…』
「あっ俺も!!…その…暇だから一緒について行っていいか?」
ダメもとで菜桜に言ってみたら、ふわっとした笑顔で
『一護さんが良ければ構いませんよ。…では行きましょうか。』
オッケーしてくれた。
「おぅ!!」
菜桜の笑顔に俺もつられて笑顔になる。そして二人並んで歩き出した。