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□悲しみの裏側に[修兵]
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九番隊の前に着いた。こんなに早くここに戻ってくるなんて…。そう考えていたら、九番隊の隊員達が私に声を掛けてきた。
「西園寺三席!!お久しぶりです。あっ……」
『今はあっちで七席だけどね…。っていうか…皆元気してた?』
私の笑顔に皆ホッとしたのか次々に挨拶に来てくれた。
「元気でしたよ。でもやっぱり西園寺七席がいないと…」
「そうですよ!!だって檜佐木副隊長も何だか寂しそうでしたよ?」
檜佐木…という名を聞いて私の顔が引きつった。
『そっ…そっかー…じゃ…顔出してこようかな。』
「きっと西園寺七席が来るの楽しみにしてますよ。」
隊員達を見送って私は執務室へ向かった。
「コンコン」と小さなノックが聞こえた。霊圧で誰が来たのかわかっている。
『十三番隊七席、西園寺です。』
「おぅ…。」
ドアが開くと西園寺と一瞬目が合ったが逸らされた。
『失礼します…。』
俺の前に来ると、
『今日から一ヶ月間、十三番隊から補佐として参りました。よろしくお願いします。』
ずっと俺とは目を合わせずに淡々と答えていた。
「あ…あぁ、よろしく頼む…。実は、この間の討伐で結構負傷者が出て、瀞霊挺通信と通常業務に支障がきたしちまってな。
瀞霊挺通信の作業は慣れてる奴の方が仕事の効率いいだろ?だからお前を指名したんだ。悪いな…迷惑かけちまって。」
『……いいえ。』
「机なんだが…、あそこ使ってくれ。」
指を差された場所は、依然私が使ってたところだった。
『それはいけません!!!私はあくまでもここに補佐として来ているのです。この場所は九番隊の三席の方がお使いにならないと。』
「九番隊に…三席はいねぇよ。」
『えっ!?』
私は咄嗟に顔を上げた。
「やっと…俺の顔見てくれたな。」
『!!!』
「俺にとって、ここの三席は西園寺以外考えられねぇんだ。だから…」
『やめてください!!』
私は大声を上げてしまった。
『私は…もう十三番隊です。』
「でも、俺はお前に…」
『お願いです…。私を…これ以上…苦しめないで下さい!!』
西園寺の目から涙が溢れてた。ハッとした私は部屋を出て行った。
「…何で…お前は、俺を避けんだよ…。」
考えてもわからなかった。あんなにニコニコしていたあいつが急に笑わなくなった。原因は…やっぱり俺…なんだろうな。