短編

□甘く
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その日、オレ、田邊綾人には考えていることがあった。

「なあ、隆也」

「ん?なにー?」

「頼む、この服着てくれ」

「どんな服…えっ…これ…、」

「うん、メイド服」

そう、付き合っている相手である松田隆也に女装して欲しくなった。

「なあ、マジでお願「ムリ」

…返事早っ!

「えー、いいじゃんよ〜」

「綾人、マジでムリだから、ごめん」

「何でそんな頑なに断るんだよ?絶対似合う、俺が保証する」

「なんの自信だよ…」

ちょっと呆れたような目で見られるけど、それさえもご褒美のような((

「ねえ、本気でお願い!」

何回か断られたが気がすまず、これが最後のお願いだという勢いで俺も食い下がる。マジでお願いします…!

「……はあ、じゃあ、俺とお前でじゃんけんして、負けた方が女装しよう」

「マジで!?良いの!?よっしゃぁ!隆也大好き!!」

「いや、まだ俺が女装するって決まったワケじゃないからね」

ふっふっふ、君のじゃんけんのクセはわかっておるのだよ、隆也くん!
いつもパーを出して「あ…」って言ってるよね、かわいいね!←
でも次のじゃんけんでもパーを出してるよね、かわいいね!!
待っててね、隆也!
すぐに女装させてあげるから!
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