短編
□君といたい
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僕の好きな人は、同じクラスの種崎祐也くん。仲も良い。
そして、その人には彼女がいる。
ほら、今日も楽しそうにその子と話して。
僕の方が、種崎くんのことを好きなのに。
僕の方が、種崎くんを笑顔でいさせられるのに。
僕にその笑顔が向けられることは絶対にない。
この思いは、永遠に届かない。
種崎くんの彼女は学年でも有名な美人で、しかも遊び人。
今まで彼女がフってきた元カレ達は星の数ほど。
もしかしたら、種崎くんもその内の1人にすぎないのかもしれない。
種崎くんには、そんな人と付き合って欲しくない。
_______早く別れてほしい。
なんて、そんなことを願っている自分が大嫌いになる。
そうだ、種崎くんにとって僕はただの友達にしか過ぎないんだ。
別れたとしても種崎くんが僕と付き合ってくれるとは限らない。第一僕は男だ。
そう考えると、胸の奥がチクチクする。
下校途中、種崎くんと彼女を見かけた。カフェの中に、2人で入っていく。
僕なら、種崎くんの好きなものを知ってるから、もっと良いとこを思いつくよ?
なんて、いちいち彼女と自分を重ねてしまう。
「…1人で帰ろ…」
ボソッと呟いた。
ああ、僕は今日も明日も、君を思い続ける。