黒崎夫婦の日常シリーズ

□夫婦の形
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今日は、現世任務だったルキア。
指令が片付いたらそのまま帰宅していいことになっていたので、早く終わったから黒崎家に行って料理を作ることにした。
一護にも連絡を入れ、いったん帰宅する。
そして、料理で汚すわけにはいかないと大切な隊長羽織を置いて、さらに食材を持って黒崎家に向かった。
着いてみると、一心が嬉しそうに出迎えてくれた。
「いやあ、ルキアちゃんの手料理が食べられるのは楽しみだなあ。」
「そう言っていただけると嬉しいです。」
柔らかく微笑んだルキアは、さっそく料理に取り掛かる。
すると、一心が近くに来てルキアに話しかけた。
これは、いつものこと。
作る間、一心はいつもルキアの近くに居て、あれこれと話をする。
それもまた、一心の楽しみだった。



もちろん、ルキアも話かけてもらえると嬉しい。
時に笑いながら、時に頷きながら話を聞いている。
今日の話は、ルキアの任務についてのことだった。
「今日は、ルキアちゃんは現世任務だったのかい? 霊圧が現世にあったようだけど。」
「はい。今日は、日番谷隊長と、松本副隊長と一緒に現世に住みついた虚の調査と討伐をしていました。」
「やっぱりそうかあ。いやあ、懐かしい霊圧だと思ったんだよな。冬獅郎の方は、ずいぶん霊圧がでかくなったなあ。松本は相変わらず、って感じだけどな。まあ、アイツら、時々こっそり一護の部屋に来てたのを俺は知ってんだけどな。」
「そうでしたね、お父様は十番隊にいらっしゃったんですものね。確かに、時々一護の部屋を借りてあれこれしていましたので…。」



それを聞いて、一心は楽しそうに笑った。
「勝手なことをしてあっちを出て来た俺が気にするのも変かもしれねえけど、アイツらが元気でやってると思うとなんか嬉しいんだよな。でもまあ、バレるわけにはいかねえから、死神の力を取り戻してからも、アイツらがいる時は霊圧を消してたんだけどな。」
「いえ、変ではないと思います。日番谷隊長も、松本副隊長も、お父様が気に掛けてくださっていることを知ると、喜ばれるのではないでしょうか。」
「だといいんだけどねえ。」



それを聞いて、ルキアは思う。
もう所在も知られているのだし、いっそのこと、会ってみればいいのではないかと。
「最近、私は十番隊と一緒に動くことが多いのです。日番谷隊長と同じ氷雪系だからか、何となく一緒になることが多い気がします。会ってみたいと思われますか?」
「うーん、会ってみたいような、もう俺が顔を突っ込むことじゃねえような。」
「そうですか。」
とりあえず、ルキアは今度冬獅郎達に聞いてみよう…と考えて、その話はそこで終わった。
ちょうどその時一護も仕事を終えて帰って来たので、その後はワイワイと騒いで、できたご飯をみんなで食べた。



それから、2週間ばかり経った頃。
再び、ルキアは十番隊と合同での任務で現世にやってきた。
午後から出向いたので、前回同様指令を片付けたら帰っていいことになっている。
思ったよりも早く虚を倒すことに成功し、帰ろうかという話になった時。
ルキアが、二人に聞いた。
「日番谷隊長、松本副隊長。今日、この後お時間がありますか?」
「俺は暇だ。」
「あたしも特に予定はないわ。せっかく早く終わったから、ちょっと買い物、くらいは思ってたけど。」
「私は、今日これから一護の実家で飲む約束をしていまして。で、お二人もご存知のように、一護の父上は元、志波一心殿です。この前、たまたまお二人の霊圧を感じたことを、懐かしいとおっしゃっていて。会いたいかどうかを伺ったら、会いたいような、もう自分が関わることではいようなとおっしゃられていたもので。もしお二人がよければ、ご一緒にどうかと思いまして。」



すると、二人は一瞬顔を見合わせた後、日番谷が言う。
「そりゃ、俺達も気になって無かったわけじゃねえし…。」
「そうなのよね、異変に気づいて何とかしようとした結果だから、あたしも本当のことを言うならいろいろ話をしてみたい気はするのよ。」
「そうですか、では、ちょっと一心殿に電話を入れて聞いてみますね。」
ルキアは、現世で一護が持たせてくれている携帯を取り出すと、一心に連絡を入れる。
『お父様、今日はお客様を連れて行ってもいいですか?』
ルキアの言葉を聞きながら、乱菊は「お父様、か…。そうよね…。」と言っていた。



『もちろんいいよ。で、誰を連れてくるんだい?』
『日番谷隊長と、松本副隊長です。今日もまた現世で一緒に任務でしたので。』
『ほう、それは楽しみにしてるよ。』
一心もそう答え、一緒に行くことが実現した。
「一心殿も楽しみにしているとのことですので。まいりましょう、日番谷隊長、松本副隊長。」
「なーんか変な感じね。でも、懐かしいわ。ね? 隊長。」
「まあ、黒崎の部屋には入ったことがあっても、顔を合わせたことはなかったからな。」
そんなことを言いながら、瞬歩で移動すればあっという間で。
なんせ、みんな位置を知っているのだから当然のことだった。



チャイムを鳴らすと、一心が出迎える。
「おかえり、ルキアちゃん。それから、久しぶりだなあ、冬獅郎に松本。さ、入って。」
一心に促されて、冬獅郎と乱菊は中に入った。
なんとなくそわそわした感じの二人に、一心は「遠慮すんなよ。」と笑いかける。
「お父様、私は夕餉を作りますね。」
「ああ、悪いね。頼むよ。」
「はい。」
汚れないようにと羽織を脱いだルキアは、料理を始めた。
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