MAGI
□第6夜
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「覗き見してるお前に言われたくねぇよ」
そこには、悲しそうな表情をしたジュダルがいた。
私達はその場を離れて、私のお気に入りである煌帝国を一望できる場所に来た。そしてジュダルにどうしてあそこにいたか、なんで泣いていたか全部を正直に話した。
「ふぅん、じゃあお前は白瑛に嫉妬してたわけ。」
「っ…………」
自分でも認めたくないことをジュダルに言われて胸が苦しくなる。2回も泣いているところを見られたくなくてその場にしゃがみこむ。
「お前さぁ……」
次に何を言われるのかと思うと怖い。耳を塞ぎたくなる。
「もっと自由に生きていいんじゃねぇの?」
「…………えっ?」
思いがけない発言に思わず顔をあげてジュダルと目が合った。頬に流れる涙をジュダルが指で拭う。
「 なんで紅炎のことを忠実に部屋で待ってなきゃいけねぇんだよ。」
ジュダルが呆れたように言う。
ジュダルの言っていることがわからない。
「だって………それは妻だから。」
「お前は紅炎の嫁っていう肩書きに縛られてんだよ。なぁ、お前は俺と同じマギなんだぜ?今この煌帝国のなかで、俺達が一番強ぇーんだぜ?軍議に介入出来ねぇて言われてあいつらの言いなりになる必要なんかねぇんだよ。」
「…………でもっ」
「お前はもっと自分の力を見せつけろよ。自分は紅炎の嫁よりマギだって思った方が自由になれる気がしねぇか?そしたらそんな感情持たなくて済むと思うぜ?嫁だからって紅炎に付き添う必要なくね?」
沈黙が漂う。風が私達の間を吹き抜ける。
「……………ハハハッ」
涙と当時に何故か笑いが込み上げてくる。
ジュダルの言ってることはめちゃくちゃに聞こえるけど、なんか筋が通っている気もする。確かに、私は妻という肩書きに縛られていたのかもしれない。自分でも気づかないうちに。
「………そうだ。私は……………………マギだ。」
ジュダルがニヤッと不敵な笑みを浮かべる。
「そうだ。俺達はマギだ」
ジュダルは私の目をじっと見つめる。私もしっかりと見つめる。
もっと自由に生きていいか………。ジュダルらしい。
「ありがとうジュダル。なんか、吹っ切れたわ」
私は立ち上がってジュダルの正面に立つ。ジュダルはやれやれといった感じだった。
「私はマギとして生きていく。もちろん、紅炎の妻としてもね。」
あくまでも私は紅炎の妻だ。でも、それ以上に私はマギなのである。
「ハッ、そうかよ」
どことなくジュダルも嬉しそうだった。