ハイキュー!!
□第1話
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青葉城西に入学して3回目の春。
始業式を終え、各々家へ帰る中、私は体育館へ向かった。
「あっ!来た来た」
徹の声により、体育館の真ん中で円になって座っていた岩ちゃん、松つん、マッキーもこっちを向いて「おう」とか「よっ」とか言って迎えてくれる。
私は迷わず徹とマッキーの間に座る。ここが私の定位置。
『マッキー、今年も一緒だったね』
「おう!さすがに3年間同じクラスだとなんか縁感じるわ」
「えぇー!!また、マッキーと花同じクラスなのー」
「悪ぃな」
「ずるいよマッキー」
「残念だったな」
そういってマッキーは私の肩を抱き、徹に向かってピースをした。
「ちょっ……マッキー花から離れてよ」
徹が私からマッキーを剥がそうとして飛びついてきた。私まで巻き込まれそうになったが、松つんがさっと引き寄せてくれたので、3人で2人の取っ組み合いを黙って見ていた。
「あいつらバカだな」
岩ちゃんがボソッと言う。
すると、いきなり体育館のドアが開く音が聞こえた。
徹とマッキーも動きを止めて、ドアの方を見る。
「ウイっす」
『金田一!国見ちゃん!』
そこには、北川第一の後輩である2人がいた。
徹や岩ちゃんも、久しぶりの再開でうれしそう。
北川第一で男子バレー部に所属していたメンツは、大体青城にくる人達が多いからこの2人も来るだろうなとは想像してた。
ただ一つだけ。
わかっていたことだけど……
『やっぱり、飛雄は来なかったんだ』
誰に言ったわけでもないこの言葉を聞いて、特に金田一や国見ちゃんは視線を落とす。
「花……」
事情を知っている徹は心配そうに私を見る。
『そんな顔しないで。……期待はしてなかったよ。あんな試合内容になって、また一緒にやりたいなんて思わないと思うし。第一、あんたがいるんだもん。来るはずがないよ。』
私は微笑しながら言った。
「なっ……」
「まぁ、確かにな」
私と岩ちゃんの言葉に傷ついている仕草をする徹。
『それで、飛雄はどこに行ったの?』
私は2人に尋ねた。
「烏野っス」
「からすの?」
「聞いたことねぇな」
『落ちた強豪、飛べないカラス……昔は強豪校みたいだったんだけど、今は全然だからこんな風に言われるようになったのよ。』
「烏野知ってんの?」
松つんが私に聞く。
『あぁ、うん。同い年の従兄弟が烏野のバレー部に入っててさ。』
「えっ?俺知らないよ?」
『なんで言う必要があるのよ』
「少し黙っとけクズ川」
「岩ちゃんひどい!!」
このやりとりが懐かしいのか、金田一と国見ちゃんは頬を緩ませる。
『なんで烏野にいったんだろうね』
「あぁ……なんか、監督が戻ってくるとか、そんなこと言っていたような気がします。」
『ふぅ〜ん。監督ねぇ…。ありがとう、教えてくれて。』
「っス」
金田一が、少し照れながら返事をする。
「ちょっと〜国見ちゃん!もっと喋んなきゃだめだよ!そんなんだったら存在すら忘れられちゃうよ〜」
そんな徹の言葉に、国見ちゃんはダルそうな表情を浮かべ、金田一の後ろに隠れる。
「お前は、存在自体がうぜーんだよ」
岩ちゃんが本当にウザそうな顔で
言う。
「なんか今日の岩ちゃん酷くない??」
「確かに、及川がいるだけでウザイわ。暑苦しいし。」
「うんうん。」
「マッキーと松つんまでそんなこと言うの?俺泣いちゃうよ」
「それがうぜーって言ってんだよ」
『ハハハッ』
ここのバレー部に入ってからほぼ毎日、このやりとりを耳にしているけど、いつも可笑しくて笑ってしまう。
私が笑ったのをきっかけに、皆も連られて笑った。
ここに飛雄がいたら……なんてね。