ハイキュー!!
□第8話
1ページ/2ページ
病院から戻り体育館へ入るや否や、ギャラリーにいる生徒達からの黄色い声援が飛び交った。
徹は慣れているだけあって、女子達からの声に笑顔で手を振りながら応えている。
私に対しても声を掛けてくれる生徒が結構いたので、一応手を振っておいた。
その後、監督に診断の報告をした徹はアップを開始した。
ここまでの試合結果は1-1の引き分け。
烏野、なかなかやるじゃん。
相手チームの方をチラッと見ると、飛雄と目が合った。私が見る前に飛雄がこっちを見ていたらしい。
飛雄は私と目が合うと深々とお辞儀をしてきた。私はそれに笑顔で返した…………つもり。ちゃんと笑えていただろうか。
その後、第3セットが始まった。
試合はどんどん進んでいき、20-24で烏野がマッチポイントとなったところで徹のアップが終わり、ピンチサーバーとして試合に出場することになった。
徹は、眼鏡をかけた長身の人を狙ってサーブを打っている様子。
私も途中から試合を見ている限りだが、その人はレシーブが苦手なように思える。
アップ中もよく見てるよなぁ………さすが。
そこから徹は次々と点を奪っていくが長くは続かず、烏野はやっとのことレシーブをあげる。
それでもこっちのチャンスボールとなり、金田一がスパイクを打った。
さすがに中学のときよりは格段に上手くなっているけど…………あぁ、早く色々なことを教えたあげたい。
しかし金田一のアタックは、烏野の小さい人によってブロックされワンタッチとなり、今度は烏野のチャンスボールとなってしまった。
………あの反応の良さ……たまたまとは思えない。
その彼は、こっちのブロックを振り切りコート内を大移動し始めた。そして飛雄はそんな彼に合わせてトスを上げ、彼の放ったスパイクは徹の横を通り抜けていった。
会場が静まり返っている中、試合終了のホイッスルだけが鳴り響く。
そして段々とギャラリーにいる生徒達がザワつき始めた。
………………今のは何?
私は試合に負けたことより、さっき見た光景に心が奪われていた。
徹でも追いつくことが出来なかった速攻。あんな速攻今まで見たことない……。
飛雄が天才なのは重々承知だが、彼………あんな身長が低いのにあの跳躍……………。
…………やっぱり只者じゃないわ。
練習試合が終わり、しばらくして烏野の人達が体育館から退出したあと、私は徹が体育館にいないことに気づく。
徹のしそうなことは大体見当がつく。
私は急いで体育館を飛び出し、徹が………飛雄がいるはずの場所へと向かった。