ハイキュー!!
□第15話
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溯って合宿2日目の午前のこと。
皆が走り込みに行っている中、私は皆の溜まったタオルなどを洗濯して、ドリンクを作っているところである。
あと少しで全部終わるっていうタイミングで、ポケットに入れていたスマホの着信音が鳴り出した。
こんなときに誰だろう…………
私は不審に思いながらスマホの画面を見ると、着信相手はあいつからだった。
『もしもし』
「よっ、元気か?」
相手は軽い調子で言ってきた。
『久しぶりだね、元気だよ。………いきなりどうしたの?』
「今俺達宮城にいんだけど、今から会えねぇ?」
『えっ?』
今宮城に来てるの?
………何でだろう。
「やっぱ無理か?」
私が考え事をして黙っていたので、心配になったらしく尋ねてきた。
『んー………いや、少しだけなら大丈夫だけど、今何処にいるの?』
私は彼らがいる場所を聞いたあと、残りの仕事を急いで終わらせ、皆に置き手紙を残して目的地へと向った。
皆には悪いけど、2人に会いたい衝動を抑えることはできなかった。
『クロ! 研磨!』
坂を上っていくと2人の後ろ姿を見つけたので、私は名前を呼んだ。
赤いジャージだからすぐわかった。
「おう、久しぶりだな。」
そこには、東京の学校に通ってるバレー仲間のクロと研磨がいた。
ちなみに2人が通っているのは音駒高校という学校で、バレーの強豪校で有名である。
「いきなり呼び出して悪ぃな。宮城に来ることになったから会えるんじゃねぇかって思ってな……………今部活中か?」
クロは私のジャージ姿を下から上へマジマジと見ながら言った。
私が音駒の人達と会う時は、日本代表のジャージを着ていることがほとんど。
だから青城のジャージを来ているのを初めて見るんじゃないかな?
『今、合宿中なんだ。皆は走り込みに行っていないから出てきちゃった』
私は肩をすくめながら言った。
『それで、どうして宮城に来てるの?練習試合とか?』
「まぁ、そうだな。なんでも明日試合する学校とうちの学校は昔から交流があったみたいでさ、それでここまで来たわけ」
『へぇー、でどこの学校?』
「烏野」
研磨がぼそっと言った単語は、今年になって何回も聞いている名前だった。
「お前知ってっか?」
クロが何気無しに聞いていた。
『うん、よく知ってる。………まぁ、君達にしてみたらなんてことないと思うよ』
「なんだよそれ」
クロがニヤニヤしながら笑ったので、私もニヤニヤしながら笑った。
「花は今年も合宿来るよね?」
研磨がスマホに向けていた顔をこっちに向けてふいに言ってきた。
『もちろん!今年もお世話になります』
私がそう言うと、研磨は少し微笑んだようだった。
「今年、めっちゃ有望な1年が入ってさ。多分、お前もびっくりすると思うぜ」
クロがニヤニヤしながら言った。
「バレー未経験者だけどね」
研磨がスマホの画面を見ながら言った。
『バレー未経験者なのに有望か………なんか面白そう。楽しみにしてるね』
そんなこんなで話をしていたら、ポケットに入れていたスマホが振動した。
スマホを取り出して画面を確認すると、徹から皆帰ってきたとの連絡が入っていた。
実は置き手紙に、皆が帰ってきたら連絡してと書いておいたのだ。
『じゃあ、私そろそろ行くね。また、夏休みに会おう。他のメンバーにもよろしくね』
「おう、今日はありがとな。」
「じゃあね」
お互い手を振り合ってからクロと研磨は坂を上り、私は坂を下り、それぞれの目的地へと向かった。
(研磨可愛かったなぁ………)
(花、どこに行ってたの?)
(………………)