短編小説
□両片思い
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今日は午後から真夏と雑誌の取材だった。
最近の真夏の周りには必ず誰かしらが居たから久しぶりの2人きりだった。
時間になるまで2人だけだった。
話すことは他愛のないことで、でも、そんな時間が私には嬉しかった。
真夏とは付き合ってる訳でもなく、私の片思いだから、2人だけで居られるだけで十分幸せだった。
「まいやん、最近無理してない?」
真夏はいつも自分のことより心配してくる。
「私は全然無理してないよ。
私より真夏の方が色んなテレビ出てたり、後輩の面倒見てたりして疲れてるでしょ?
今のうちに休んでたら?」
「んー、大丈夫。
久しぶりにまいやんと会えたんだもん、いっぱい話したい!」
無意識でこんなこと言われたから心臓がドキッとして、何も返せなかった。
「あ、まいやんは疲れてるよね。
ごめんね、無神経にいっぱい話したいなんて言っちゃって。」
「いや、違うの!私も久しぶりだから真夏と居たい。」
真夏と居たい、なんて勢いで言ってしまった。
「ふふ、おんなじこと考えてたんだね。」
さっきから本人は無意識だけど真夏の言葉1つ1つに翻弄されている気がする。
「まいやーん、好きー」
そう言って微笑んだ表情は世界一可愛くて私の心には強く抉るように刺さった。