ただそこに漂いたかった
□所在確認/好奇心
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取りあえずここがどこなのか調べるとどうやら私の家らしい。
家といってもメゾネットタイプのマンションで、窓から外を見ればミニチュアな建物。え、ここ何階?32階らしい。わーお。
一旦この部屋の契約書を元に戻し、私は私の私物であろう物を目の前に広げ頭を捻る。
『…帝丹高校三年A組結城白…』
名前は確かに私のものだが学校名は違う。なんだ帝丹高校って。反対にしたら探偵高校じゃないか。ダジャレ?
それに数学と書かれたノートを捲ってみるが中身に覚えはない。理解は出来るけれど。それに字も確かに私のもの。
部屋にパソコンがあったので電源を付けてみる。パスワードが設定されているが、私の知るものを入れれば解除できた。
検索エンジンを開き"帝丹高校"と入れてみる。
…どうやら、このマンション近くの最寄り駅…杯戸駅から一駅先らしい。…東京都米花町?そんな地名あっただろうか。杯戸駅?そんな駅東京にあっただろうか。
『…つか、結局ここどこだよ』
マンションなんて借りた覚えはないし、帝丹高校も同じく。けれどここは私の家らしい。
『…!?…あ、なんだメールか』
急に腰辺りが震えたため驚くが直ぐに原因が分かる。…。メールって誰から。
そっと携帯を取り出しまたもやパスワードを解除して画面を見る。新着メールを開く。
_学校にちゃんといきなさいよ。学生の本業は勉強でしょう。貴女だってそうよ。
という文字。Vermouth…ベルモットという人からだった。
…あだ名にしてはなんとも…外国人の知り合いがいるのか私には。だとしたらこのベルモットさんは大変日本語がお上手だ。
友達、のような口調ではない。…大人、なのか。恐らく両親ではない大人と私はメル友なのか。メル友というのが適切かは知らないけど。
_分かった。
と返信を送る。今までの送信履歴からして、特に敬語を使ってる様子はなかった。なのでそれに習う。
『………取りあえず…』
学校にいかなければならないらしい。
携帯に表示されている時刻は8:00を過ぎているけれど、果たして遅刻にならないだろうか。