「距離」緑×紫 シリーズ

□距離 after3 緑×紫
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side杏果


「…ちゃん。ありちゃん、起きて…?」
「んっ…」


耳元で聞こえる、柔らかなれにの声。
くすぐったくて、ぎゅっと目をつぶる。




「ありちゃん、うちら、1時間も寝ちゃってたみたい…、ね?起きて…?」
「…んぅ、」


れにの声にしぶしぶ目を開ければ、そこは可愛らしいれにの部屋で。



あれ…?なんで、私…



「ありちゃん、寝ぼけてる?笑
ここ、あたしの部屋。ありちゃん、遊びに来たんだよ」

記憶喪失じゃないんだから思い出してよ〜、なんて笑うれにの声に、だんだんと記憶が蘇って行く。



確か、確か…


おかし食べよ、って言って、おかし食べてたられにが眠たくなって…。

そっから、じゃあ寝よっか、って言って、…。




待って。


そのとき、私…



「…ねぇ、れに」
「おはよ、ありちゃん。どしたの?」
「…私さ、寝る前、なんか言わなかった?」


…あ。その顔。


気まずそうな、恥ずかしそうな、れにの顔を見てたら、あれは勘違いじゃなかったんだ、って…。




『れに……、すき………』


自分が言ったセリフが、リプレイのように脳裏に流れた。


やばい…、全身があつい…、はずかしい…っ。





…もう、最悪。

れに、流してくれるといいけど…




「…あ、ありちゃん…!」

恥ずかしさから目を合わせれずに、なに、とぶっきらぼうに返事をする。


こっち見て、なんて言われてしぶしぶれにの方を見ると、れにも顔が真っ赤でびっくりした。
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