「距離」緑×紫 シリーズ
□距離「タイミング:3」 緑×紫
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sideれに
「はぁ〜、美味しかったねぇ…」
「れに、ハンバーグつくるの上手だね…、私もそんな風にうまく作りたいなぁ」
晩御飯を食べて、羨ましそうに笑うももか。
シュンとしてるのがなんだか可愛くて、今度は一緒につくろ、作り方教えてあげる、なんて言ったら、嬉しそうにわらった。
「あ、あたし、お風呂入れてくるね?」
「ん、じゃあ、洗い物しとく」
お風呂を入れながら、ふと思う。
あぁ、1日が終わっちゃう。
こんなに早く1日が過ぎるなんて、神様はいじわるだ。
ももかともっと、一緒にいたい。
もっともっと一緒にいろんなものを見て、体験して…
「れに?洗い物終わったよ?」
「…ももか……」
ひょこっとお風呂場に顔を出したももかが可愛くて愛おしくて、それでいて離れたくなくて。
なんだか自分の感情が複雑で、思いっきりその子に抱きついた。
「わっ…とと、どうしたのれに…」
「…離れたくない」
ももか…、ごめんね。こんなこと言われても、困るよね。
あたしたちだって、プロだから。
毎日お仕事があって、メンバーとわちゃわちゃして。
その時間だけでも幸せなのに。
幸せを高望みしちゃう、あたしは、ダメなやつ。
「れーに。顔、あげて?」
声のままに顔をあげれば、そこには少し寂しそうな顔をしたももか。
「…ここ、寒いよ?くっつくなら、あったかい場所に行こう?」
優しいなぁ、ほんと。
その言葉にあたしはうなずいて、リビングのソファへと向かう。
目の前を歩くももかと、明日はこんなにもイチャイチャできないんだ、って思ったら、寂しくて寂しくて。
足取りが、重くなる。
「れに…?おいで?」
ソファに座って、手を広げたももかに、あたしはぎゅっと抱きついた。
「…私だって、離れたくないよ」
ももかの声が、耳元で聞こえた。
「…でも、私たちを待ってる人がいる。だからこそ私たちは生きていける」
…うん、分かってる、分かってるよ。
「…また、お泊り、しよ?」
「…うんっ!」
ももかの手が、あたしの背中を撫でる。
このままがよくて、あたしはずっとももかにしがみついていた。