緑さん

□オンとオフ 赤×緑
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side杏果


「…有安は、ここね?んで、高城はここで、詩織は私と一緒、あーちゃんは真ん中…」


お仕事モードの夏菜子は、かっこいい。
見とれちゃうほどにやる時はやる私の彼女は、今日もみんなに指示を出す。


「おーい…?ありちゃーん…?」
「ん、なに……、れに…」
「また夏菜子に見惚れてんのー?」

…もう、うるさいよ、ばか。


「たまには素直にアピールして見たら〜?夏菜子意外と、喜ぶかもよっ!」

ぽん、と私の肩を叩いて立ち上がったれにに、私は、うーん、と考える。

私もオンとオフは分けるタイプだけど。
今日くらいは、夏菜子にくっついてもいいのかな。


「…夏菜子」
「ん?どーした?有安」
「ありやす、じゃなくて、いつもの呼び方がいい…」

夏菜子の隣に座ってた詩織が、ぶほっ!と飲んでたお茶を吐いた。

な、なんなのよ…、そんなに私がおねだりする事、おかしいのかなぁ?


…でも、きっと、ダメ、って言うだろうなぁ…、
夏菜子のオンとオフの切り替えはすごいから…。



「…杏果。今日、うちにおいで」
「へ…?」

夏菜子、だいたーん、なんてからかう詩織に、やっと私はその意味が分かった。

それって…、それって……。
久しぶりに、夏菜子と過ごせる…、そういうことだよね…?



「あと……、」

…あと?


言葉をつなげた夏菜子は、急に私の腕を引っ張る。



「か、夏菜子、顔、ちかっ…」
「帰ったら…。覚えておいてね?ももか、」


えっ、なにっ!夏菜子ちゃん、超イケメンじゃんっ!って…、あーりんの声が、頭の奥でこだました。


「…ダメだ夏菜子。有安、死んでるわ笑」
「これは私じゃなくて、誘ってきたももかが悪い」


な、なんか…。
ぷしゅう、と、全身から湯気が出るように熱い…。





結局夏菜子は、それから私のそばを全く離れなくて。

一緒に家に帰ったらすぐに、もう我慢できない、なんて。
夏菜子の腕に捕らえられたのは、言うまでもない。




おまけ

「バカ、ももか…。あんなこと言われたら、気になって仕事に集中できない、っていうの…」

「ちょ、まっ、かなこ…っ」
「待たない。…ねぇ、好き、ももか…」
「待って、お風呂だけ先に…」
「だーめ。もう我慢の限界、」

…私が、たくさん愛してあげる。



fin.

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