緑さん

□束の間の休息 赤×緑(たまに紫)
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side夏菜子

最近、杏果が忙しそうだ。
なんやかんやあって、ここ2週間くらい会ってない。


「ねぇ、今日、杏果はー?」
「なんかソロコンの確認してから来るんだって。遅れる、ってふるちゃんが言ってたよー」

あーりんと詩織の会話に耳を傾けながらも、ソワソワしちゃう自分がいる。


「…夏菜子」
「なぁに?…れに」

レッスンが始まる前、私の隣にきたれには、杏果のこと、心配だよね、なんて呟いた。


「んー…、まぁね…。でも多分私だけじゃなくてみんな、杏果の事気にしてるよ」

だってほら…。
ずっとさっきから喋ってるあーりんと詩織だけど、2人とも扉の方をチラチラ見ながら話してるし。

…れにだって、杏果のことが心配で心配で。
きっとどうしようもなくて、私のところに来たんだよね。



「いやー…、ありちゃんさ。いかにも大丈夫なフリするけど、案外、やばいとき、あるじゃん?」

ありちゃん、元気かなー、大丈夫かなー。

なんてずーっと言ってるれにに対して、私は逆にずーっと無言だった。





「…っ、すみません、遅れました…っ!」

噂の本人が来たのは、レッスンが始まって1時間ほど経った後で。



「…ももか!」

みんなレッスンを放り出して、杏果のもとへ駆け込んだ。


「元気だった?」
「うん、」
「ごはん食べてる?」
「食べてるよぉ」

質問責めにあってる杏果を遠目から見てて、なんか、違和感。

あれ?杏果って、あんな雰囲気だったっけ…?



「夏菜子ちゃん、」
「あっ…。びっくりした、なんだ、あーちゃんか…」

…あ、杏果のとこに行かないのが気になったのかな。


「ごめんごめん、ちょっとぼーっとしててさ…」
「んーん、そうじゃなくて。あたしも多分、夏菜子ちゃんと同じ異変、感じてる」
「へ…?」


どうやらあーちゃんが言うに、きっと杏果は「ももクロでいる時の」杏果に戻れてないんだと思う。って。


「ほら、夏菜子ちゃんも、ドラマやってた時、ももクロでいる時の自分ってどんなんだったっけ?って思ったでしょ?」

…あー。なるほど。


私の場合は、撮影の合間とかにももクロの曲とか聞いてたから良かったけど。

杏果は、そういう事、できてたのかな。




「はーい、みんなレッスン始まるよー!」

先生の声を合図に、みんながバラバラと動き出す。


…夏菜子ちゃん、杏果のことよろしくね?なんて笑ったあーちゃんに、私は全てを理解して、うん、と頷いた。
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