「距離」緑×紫 シリーズ

□距離 緑×紫
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side杏果


れにはいつもいじられてるけど、本当はみんなの事をちゃんと見てる。

みんなメンバーもスタッフさんも私も、そんな優しいれにの事が大好き。


「れーにちゃん!」
「なぁにー、あーちゃん〜」

でも最近、私はれにとあまり話さない。
たまにれにがさっきみたいに、何してんの、って声をかけてくれるけど。


本当は、いっぱい話したい事あるのに、
なんだか随分お姉ちゃんになってしまったれにを見て、私なんかがれにを取っちゃいけないなって。

いや、れにはみんなのものだって分かってるし、誰のものでもないんだけど。


推され隊として頻繁に活動してた時は、もっとれにといる時間は長かった。


けど今は、遠い。
このままれにが、私を置いてどこかに行っちゃうんじゃないかって、最近不安になる。

バカみたい。



「…ありやす?」
「夏菜子…、」
「なんかあった?ペン止まってる笑」


急に話しかけられてビックリした。
うちのリーダーが可笑しそうに私の手元を見てわらう。

でも少し伺うように聞いてきたのは、私のことを気にしてくれているんだろうな。

リーダーも、優しい。
うちのメンバーは、みんな優しい。

「んーん、ぼーっとしてただけ。夏菜子じゃないからノートはちゃんと書いてるもん」

はぁー!?私だって書いてるしーー!って、怒ったフリをする夏菜子に、ついつい笑みがこぼれる。



「…杏果!」
「ん?」
「なんかあったらいつでもおいでね」

ぱちん、とヘタクソなウインクをした夏菜子に、ありがと、と素直に頷く。


「………。ひぇ〜〜〜!!みんな聞いて!杏果が素直!!」

…あ、しまった。

「…え、どーしたの杏果、何か食べた?」
「違うよ、きっと夏菜子の事が好きなんだよ…!」
「ちょっとー、やめてよねわたしの夏菜子取るのーー!笑」


あぁ、気がつけばまわりに4つの笑顔。


…まぁ、いっか。

気がつけばれにの事なんて、その時はすっかり忘れてしまっていた。
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