「距離」緑×紫 シリーズ

□距離 「まずは少しずつ」 緑×紫
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sideれに


「おじゃましまーす…」

今日はね、ありちゃんが家に遊びに来てくれたの。

レッスンが終わって、一緒に夜ご飯の買い物に行って、ね?


れにの家、久しぶりに来たなぁ、なんて笑うありちゃんは、お迎えに来たぜっくんを優しく撫でてる。

「ぜっくん、良かったねぇ〜…。久しぶりのありちゃんだから、撫でられて気持ちよさそうにしてるよ」

でもさ、ありちゃん。
…そろそろ、あたしにも構ってくれてもいいんじゃないかな…笑


「…なんか、あたし。ありちゃん不足、かも……」

猫のぜっくんにまで嫉妬しちゃうなんて。
あたし、相当やばいのかも…



「れに?どしたの?」

いつのまにかぜっくんとじゃれ終わったありちゃんが、あたしの顔を覗き込んだ。


待って、ほんと…。
ありちゃん、これで無意識なの…!?


最近ショートカットにしたありちゃんは、表情がよく見えるようになった。

ただでさえ上目遣いだけであたし、やばいのに。


こんなに可愛い顔を間近で見せられて、平常心でいる、なんて方が難しいよ…っ。




「…ちょっと、来て。」
「れに…?」

耐えらんなくて、腕を引っ張る。
ごめん、ありちゃん。ちょっとあたし、限界だわ…



「れに…?どしたの……?」
「ここ、座って?」

あー…。余裕ないな、あたし。
ありちゃん、すごい不安そうな顔してるじゃん…


「ちょっ…、れに…?」

あたしはソファにありちゃんが座ったことを確認してすぐ、その子にぎゅーっと抱きついた。


「あたしのことも見てよ…、ありちゃん…」
「……れに、」

ありちゃんの優しい香りを感じて、なんか久しぶりにこうやってぎゅーってしたなぁ、なんて思って。

ちょっと気持ちが落ち着いたから、顔をあげればそこには、微笑んでるあたしの恋人。


「寂しかったの?」
「うん…。ぜっくんにさえ嫉妬しちゃった…」
「珍しいね、れに。…でも、私も。ずっと、こうしたかった」

あたしの想い、ばれてたんだ…。
でも。…それよりも、私もれに不足、なんて言ってまた、ぎゅうっとしてくれるありちゃんが愛しくて。


「うちらほんと、バカだよね…」
「うん。好きすぎて、やばい」
「ちょっ…、れに…////」


だってほんとのことなんだもん。



「…補充、できた?」
「うん。ありちゃんは…?」
「私も。…そろそろ、ごはんつくろっか?」


そうだね、なんて、名残惜しいけどお互い離れて。



「…でも私、れにが甘えて来てくれて嬉しかった…」
「うん。…少しずつ、さ」

あたしたちはまだ、付き合いはじめたばっかだけど。


あたしたちなりのペースで、これから少しずつ、歩んでいけばいいんだよね。



「…よし。ハヤシライス。つくろ」
「インスタンドだけどね笑」
「そういうこと言わない…!笑」


fin.
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