「距離」緑×紫 シリーズ

□距離「タイミング:2」緑×紫
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sideれに


手をつないで、駅のホームまで歩く。


ももかは、ちょっと恥ずかしそうだけど。
あたしには、周りの目より、ももかと過ごせる時間の方が大切だから。


「…ね、れに。どこまで行くの?」
「んー?…ちょっとね。二駅ほど、先にあるとこかな」

あたしが行きたいとこ。
そこには、何があるわけでもない。

でも、どうしても、ももかと行きたい。



「駅、とうちゃーく!」
「到着!」

お昼時だから人は少なめだけど、ちらほら見える人の影。

ももかが誰かに持って行かれないか心配で、おいで、なんて引き寄せた。


「ちょっ…、れに、ここ、電車の中…」
「いいのいいの。誰も見てないって!」


電車の中でも、あたしの過保護は止まんない。
だって、ほんとにももか、ちっちゃいし可愛いから、どっか行っちゃうかもしれないんだもん…


電車の扉の前の壁側に立って、ももかをぎゅっと抱きしめる。

「…///////」
「んふふ…笑」
「れにっ…、近いっ…/////」


いやー、照れてるももかもほんとに可愛い。


こんな電車の中でさえ、こんなに素敵なドキドキをくれる、ももか。
好きだなぁ、なんてしみじみ思う。


「…れに?ここじゃないの?」
「あっ…!そうだ!危ない危ない、降りよっか、ももか」
「…もー、しっかりしてよぉ…笑」
「ごめんごめん、ももかに見惚れてた」


…あ。顔、真っ赤。

腕を引っ張ってホームに降りれば、そこにはもう優しい夕焼けが落ち始めていて。


照らされた紅い光をまとったももかは可愛らしい天使みたいで、あたしの方が照れてしまった。


「…れにの、バカ」
「なーにがバカなのよぉ」
「私が、ああいうの、よわい、って知ってるくせに…」


駅を出て歩きながら口を尖らせるももかは、ちょっと不機嫌そう。

あー…、あたしだってあれは、ぽろっと出ちゃった言葉なんだけどなぁ。


「ごめんごめん。でも、2人っきりのときくらい、さ?ももかとラブラブしたいじゃん?」
「…むー。それなら、いいけど…」


ももかは、あたしと2人っきりだと、たまにとてつもなく素直になる。

あたしとしては、本音が聞けて嬉しいんだけどね。
ももかは、やっぱり恥ずかしいみたい。


「…どこまで行くの?」
「もう着くよ!」


15分ほど、歩いたとこにある、その場所。
あたしがももかと、来たかった場所。
地元の人しか知らない、スポットなんだよね。


細い小道をかきわけて、木々がたくさんある中を歩く。
眩しい光が前から射してきて、もう着くよ、なんてももかに言えば、楽しみだなぁ、と顔をほころばせてわらった。
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