「距離」緑×紫 シリーズ
□距離「タイミング:3」 緑×紫
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side杏果
れにが思ってること、痛いほど伝わる。
私だって、どれだけ、今のまま時が止まればいいんだろう、って思った。
でも、現実はそうもいかない。
れにの背中を撫でながら、ふと、考える。
「…れに」
「なぁに…?」
「今度、旅行、行こ?」
ガバッと、れにが私から離れた。
ニコニコな顔で、うん!と頷く。
「…その前に、お風呂ね?」
「あっ、お湯止めて来なきゃ…!」
楽しみがあるから、人は頑張れる、と思う。
お風呂わいたよ、なんて笑顔で言うれにに、入ろっか、って微笑んだ。
「…なんかさ。一緒に入るの、ドキドキするね」
「えー、いつもみんなでお風呂入ってるじゃん」
「あれはみんなでだから…。今日は、ももかと2人きり、だからさ」
もう、れにのバカ…。
私だって、考えないようにしてたのに。
相変わらず猫背なれにだけど、肌がスベスベで綺麗。
思わず、見惚れちゃう…。
「そんな見ないでよぉ…笑」
「ご、ごめん…/////」
れには、さっきまでの鬱々とした感情がどこかへ行ったのか、鼻歌を歌ってる。
れにが先に浸かって、私が先に洗って。
「幸せだねぇ…」
「うん…/////」
2人とも洗い終わったら、一緒に湯船に入った。
向かい合わせで、どこ見たらいいかわかんなくて。
れには呑気に歌を歌ってるけど、私はそれどころじゃないよ…。
「…ももか?顔赤いよ?のぼせちゃったかな…」
「だっ、大丈夫!れに、もうでよ?あんま長くいると、ほんとにのぼせちゃう…」
それもそうだね、なんてわらったれにに、内心、ほっと安心する。
これ以上れにのこと見てたら、なんか、ドキドキしちゃってしょうがないもん…。
「ほら、ももか、おいで?ドライヤーしてあげる」
胸の鼓動がバレないように、深呼吸して、微笑むれにの元へ向かった。