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□ズルい笑顔
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※梅雨入りシリーズ※
「ジャン!」
「…………」
「ジャンってばー」
「……」
「ジャンさーん」
「ジャンくーん」
「ジャンボ!」
「うるせぇな!さっきから何なんだよ!あとその名で呼ぶんじゃねーって言ってんだろ!」
人をさっきから呼んどいて反応すれば名無しはやれやれ、といった表情で見てきた。
こっちがやれやれだバカ野郎
「雨止まないねー」
「梅雨だからな、仕方ねぇよ」
「せっかくの日曜日だよ?せっかくのデートがお家デートだなんて悲しいじゃない!」
小雨程度なら外に行くか、とか考えたが
凄まじい豪雨と雷の中を歩いて何処かに行く気分にはなれなくて
お互いの家も近いから、つー事で俺が名無しの家に行く事になった。
適当に名無しの部屋にある雑誌をペラペラめくるが女が読むものはよく分からねえ…
すると名無しが俺が読んでた雑誌を指差して急に声をあげた
「あ!この服可愛いよね〜ここのブランド好きなんだよ〜欲しいな、こんな雨降ってなかったら買う予定だったのに…」
「あ?…いやいやいや…これはダメだろ…却下」
「はあ?何でよ!可愛いじゃん!」
名無しが欲しいと指差した服は
完結に言うと露出が高かった。
肩とか胸元とかザックリ開いていて肌色が多すぎる…
「バカ野郎!おま、これ…露出し過ぎだろうが」
「あ、そっかー、…へ〜ジャン嫉妬しちゃう?私がこれ着て歩いたら嫉妬しちゃいますか〜」
ニヤニヤして言ってきやがる名無しを
どつきたい衝動に駆られるが堪える。
まぁ事実だから
「ジャンが嫌なら買うのやめとく、ジャンが嫌な事は私も嫌だから」
「さらりと恥ずかしい事言うんだな…」
「そう?普通じゃない?…雑誌読むのも飽きたね〜何する?」
「ナニすんのか?」
「…ジャンおやじみたい」
クスクス笑われた
こいつの笑顔はズルい
あぁ…やっぱり
「すんぞ」
「ちょ、ムード無いよ!」
ブツブツ言ってる名無しの口をキスで塞ぐと
途端におとなしくなり
深く深く、噛み付くようなキスをすれば頬が赤く染まりお互いに熱が高まる。
「ジャン…好き」
「俺も」
fin.