小ネタ会話文
□天高く乙女肥ゆる秋
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「ふわっ!この紫芋のポッ◯ーおいしい!あーん、こっちの和栗モンブランもたまらんよぉ!!」
「………」
「はっ!このパンプキンパイも中々…!あー、これじゃあ晩御飯のサンマの塩焼き入らないかも〜……いや、いけるな」
「………」
「うーん、秋は美味しいものがいっぱいだなぁ…!今度東条さんが栗ご飯作ってくれるって言ってたし!」
「……あのさ」
「ん?どうしたの、王馬くん。あ、王馬くんもポッ◯ー食べたい?はい、あーん」
「…いや、そうじゃなくて」
(でもあーんはする)
「ん?モンブランの方がよかった?」
「ポッ◯ーでいい…って違うって!オレが言いたいのはそんな事じゃないよ!」
「んー?」
「…名字ちゃんさぁ、この一週間で太ったんじゃないの?」
「へっ……………う、うぅ…そ、そうなんだよね………ちょっとお腹がムニッてしてきたというか………ポリポリッ…」
「反省しながら食べるなッ!」
「あっ、私のポッ◯ー返して!」
「ダメッ!これ以上食べたら本当にブタになるよ!?」
「あのね、王馬くん。ブタさんって実は体脂肪率15%のモデル体型なんだよ?」
「…名字ちゃんさ、誰に似たか知らないけど、こういう時だけ頭の回転いいよね」
「えへへ。大好きな彼氏様の影響かなっ」
「きゅんっ!…じゃなくて!!あーもうっ!はい、昨日の夜の体重は!?」
「ドキーンッ…!」
「昨日お風呂あがりにこっそり量ってたの知ってるんだからね」
「………5キロ増えてました」
「はっ!?一週間で5キロって…」
「だ、だって!秋って新作のお菓子とかスイーツがいっぱいなんだよ!?それに、ご飯だって美味しいし…」
「それにしたって増えすぎでしょ…。……分かった、ダイエットしよう、名字ちゃん」
「え」
「心底嫌そうな顔しないの。オレ、自分の彼女がブタなんて嫌だよ…」
「だからブタさんはーー」
「えぇいっ、黙らっしゃいっ!とにかくダイエットするよ!」
「えぇ…運動嫌い」
「頑張ったらご褒美あげるよ」
「ご褒美ってなーに?」
「んーと…あ、オレがめちゃくちゃ甘やかしてあげる」
「え…」
「その代わり、ダイエット成功までちゅーは一切お預けね」
「えぇ…」
「ほらほら〜、それが嫌だったらダイエットしようよ〜」
「うぅーん……」
「ダイエットする気になった?」
「…それだったらしなくていいや。さーて、残りのモンブラン食べよっーと」
「ちょっと待てぇぇぇええぇぇぇっ!!」
「えー…何なの、モンブラン食べさせてよ」
「彼氏といちゃいちゃできないって言われてるんだよ!?名字ちゃんはそれでいいわけ!?」
「…王馬くん」
「…なに」
「秋限定って、秋しかないから秋限定なんだよ」
「は?それがなに…」
「王馬くんとのちゅーは秋が終わってもできるけどね、秋限定は秋を逃したらまた来年まで会えないんだよ…!だったら私は、今!思う存分秋を楽しみたいっ!!」
「名字ちゃん…」
「分かってくれた、王馬くん?」
「はぁ…もういいよ…」
「あっ、王馬くん!」
「うーん…怒らせちゃったかなぁ…もぐもぐ」
「名字ちゃん…」
「王馬くん!急にいなくなるから心配したよー。王馬くんも諦めて一緒に食べよ?ダイエットはその後でもーー」
「これなーんだ…」
「え……はっ!そ、それは…まさかっ!」
「そのまさか。名字ちゃんのお気に入りのスカートでーす。今までもウエストギリギリだったけど、お気に入り故に我慢して履いてたスカートでーす」
「う、うぅ…卑怯だよ!その子を人質に取るなんて…!」
「卑怯でもなんでもいいよ。キミを動かせるならね…」
「ふぐぅ……」
「ダイエット、する気になった?」
「……うわあああああんっ!!!」
その後、王馬コーチの厳しい指導の元、無事ダイエットを成功させて、目一杯甘やかしてもらいましたとさ。