ぐるぐる そのT
□奇妙な同居人(1)
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忍者というものは楽しい。
小さい頃から憧れていたもので、今や成人になり上忍という立場にまで来ている。
けれど私の忍生活は一筋縄ではいかないものだった。
ある一つの心配事を除いては…。
「マホ、お疲れ〜!もう帰り?!」
『ああ、いの、お疲れ様。これから報告書を提出したら帰るところだよ…そっちも任務終わり?』
久しぶりに10班のメンバーが顔をそろえていた。
この3人懐かしいな…と思いながらそれぞれの顔をまじまじと見つめていると、チョウジが不思議そうにこちらを見てきた。
チョウ「ボクらも終わりだよ。それよりマホ、なんだか疲れてるみたいだね…任務大変だったの?」
『ううん、全然!ちょっと色々あってね…なんかチョウジが女の子にそんな心配してくれるなんて珍しいね…!』
いの「まあ、チョウジにも春が来てるところだからね〜フフフ」
『え!!そんなあ〜!!!』
いつの間にチョウジにもそんな相手がいたなんて…。
いの「アンタこそどうなのよ。本当に昔っから浮いた話ないわよね」
『だって出会いなんてないし…しかもそのせいでママがしょっちゅうお見合い申し込んできてさ、それで毎日大変なんだよね…私だって普通に恋愛して結婚したいよ…』
そう。
私が日常を憂鬱に感じる唯一の出来事が、このお見合い。
元々音楽に長けている榎本一族。
忍になることを両親に猛反対されていたんだけれど、結婚して跡取りを産んでくれるのなら忍になってもいいという条件を出され、快諾したのがアカデミーを卒業した時の話。
忍一筋なこんな私でも、いつか人生の伴侶を共にしてくれる人が現れると信じて疑わなかった結果がこれ。