ぐるぐる その1
□アイドルくノ一
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3か月前、ずっと憧れだった上忍になれたというのに、現実はこうも甘くない。
「あー、マホさんだ!握手してください」
「ずるーい!ねえ、私にはサイン書いてください」
『あ…はい……』
彼女たちには罪がないので、できるだけ笑顔で要望に応えてあげる。
「いやー、相変わらず人気だねえ、マホは。」
『カカシせんせ…あ、火影様!』
カカ「様ってやめてヨ…。この間の週刊木ノ葉マガジン、10ページも特集されてたじゃない。俺も見たよ」
『あはは…ありがとうございます』
カカ「休みがあまりなくて大変だろうけど、無理せずに頑張ってね」
『ありがとうございます』
そう言うと颯爽と火影邸へと姿を消す、6代目火影様。
火影候補で同期のナルトくんは、実力はあっても学術はイマイチで、次の火影になるべく勉強を一生懸命やっている。
それまでの火影様が、カカシ先生となったわけだ。
そして、どうしてか、そのカカシ先生に推薦してもらい、私はナルトくんよりも先に上忍になってしまったのだ。
どうして、私なんかが…。
ふと目に入った公園の掲示板には、私が警察官の恰好をした"抜け忍、退散!"と書かれたポスターがある。
それを見てまた深いため息が出てしまった。