ぐるぐる その2
□隣の距離の縮め方(1)
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「マホちゃん、おはよう」
『ヒナちゃん、おはよう。今年も同じクラスになったね』
ヒナ「うん。良かった」
日向ヒナタ。高校になって初めて出来た、大切なお友達。
人と打ち解けるのが苦手だった私に出来た唯一のお友達だから、これからも仲良くしていきたい。
けれど、それもうまくいかないようで…。
「ヒナター!!今日一緒に帰ろうぜー!!」
ヒナ「あ…うん///」
ヒナちゃんは、中学の頃から長い間片想いをしていたという、うずまきナルトくんと最近両想いになり、晴れてカップルになった。
今年はナルトくんとも同じクラスだから、一緒にいられる時間が少し減ってしまった。
『良かったね、ヒナちゃん』
ヒナ「うん」
しかもナルトくんは学年でも人気者で有名な人物。
だから自ずとヒナちゃんも周りから囲まれるようになった。
ヒナちゃんは自分からどんどん変わっていって、すごく羨ましい。
私は、ずっと何も変わらないまま。
10年も……。
「榎本さん、日直の仕事代わりにやってもらえない??今日大事な用事があって……」
『あ…うん、いいよ……』
「ありがとー!超助かったよー!」
今日も居残りか……。
静まり返った教室で、今日も黙々と同じ作業を進める。
あとは黒板消すだけか……。
日誌を閉じ、顔を前に向けると、カタ……という控えめな音とともに大きなため息が聞こえた。
「お前、まためんどくせーことしてんのかよ」