ぐるぐる その2
□ハートの花びら
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もう、終わっちゃったのか…。
会場へ着くと、ほとんど撤収の作業が済んでいて、人もまばらにしかいなかった。
公園の真ん中にポツンと咲く桜の木は、大きな存在感を出していて、周りが明るく照らされているようだった。
『わ…本当にハートみたい……』
シカマルくんは、ここで私が告白したら、何て言っただろう…。
『…中途半端な気持ちでなく、シカマルくんがずっと大好きです……』
来年は絶対に本人に伝えよう…。
そう思いながら岐路に着こうと振り返ると、驚いた顔をした意中の相手である張本人が立っていた。
「マホって…本当につくづく運がないんだな、はは」
『…へ…!!!い、今の、聞いてた…?』
「ああ、聞いてた」
『ご、ごめんなさいっ!!』
恥ずかしさのあまりこの場から一刻も早くいなくなりたくて、彼と逆方向に走りだしたけれど、公園の外灯のせいで私の影が彼の術に捉えられてしまった。
『ひっ!』
「言い逃げは良くないぜ。それに、さっきひどいこと言って謝りたいのはこっちの方だ」
彼の術には逆らえず、否が応でも彼との距離が縮まってしまう。
いつもいる距離よりも近すぎて、上手く目が合わせられない…。
「何をしてても、いつも火影邸で雑用やってるアンタのことから目が離せないんだよ」
『え…?』
思わぬ言葉に顔を上げると、耳まで真っ赤になってるシカマルくんがいて。
「つまり、俺もアンタと同じ気持ちってことだ」
私はつくづく運がいいくノ一だ。
いつもみんなに雑用を頼まれて、その度に横にはあなたがいる。
私が幸せだということをハートの花びらが証明してくれたんだ。
―end―