ぐるぐる その2
□長い糸を結ぶ
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今でも覚えてる。
5年前のちょうど今頃。
もうすぐ彼が15回目の誕生日を迎えようとしていたところだ。
冬に着られるように編んでいた、茶色のニットのセーター。
着ているところを想像して、鹿とシンクロする彼を思い浮かべては、クスクスと笑っていた。
家も、部屋も隣だから、バレないようにと気配には人一倍気を使っていた。
元々、自分の得意な分野だったしね。
そのセーターがあと一列で編み終わるというところで、綱手様に呼ばれた。
それが、私の暗部入りの始まりの合図だったー。
ーーー
ーー
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カカ「マホ、もう仮面を外して良いよ。長い間、よく頑張ったネ。」
『っ……(泣)』
感情を押し殺すことには慣れてたはずなのに、涙が止まらなかった。
暗部入りの前は中忍だったけれど、6代目の配慮もあり、特別上忍として公に戻ってこれた。
シズネさんに案内され上忍の待機所へ行くと、懐かしい光景が一面に広がった。
サク「…ひょっとして、マホ?!」
『うん。サクラ、だよね。変わってなくて安心した』
サク「みんなでお願いした甲斐あったわー!よかった、戻ってきてくれて」
『お願い、してくれたの…?ありがとう』
サク「そりゃあ、大事な同期だもの!」
『そういえば、ナルトは?』
忍界大戦は、ナルトの尽力でうまくおさまったことくらいは耳に入っていた。
サク「それを聞くのはナンセンス。アイツはまだ下忍よ」
『そうだったの?!』
サク「まー、積もる話はいっぱいあることだし、今晩集合ね。お祝いしましょう!」
サクラはそう言い残し、任務へと向かっていった。