ぐるぐる その2
□それは好きだということ
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そんなことを考えながら火影邸を後にすると、公園のほうで何やら言い争っているような声が聞こえた。
どこか、聞き覚えがある。
声のする方へ行ってみると、案の定顔見知りの男女が二人。
「あ、マホ!ちょうどいいところに来たわ!サイってばひどいのよ?!」
サイ「そ、そんなこと言われても…」
『ん?いのとサイだなんて、なんか珍しい組み合わせだね…?』
いの「はい?!珍しいも何も、私たち付き合ってんだけど。」
『………え?!』
こうして二人に連れられた居酒屋で話を聞いたところ、どうやら今日が付き合って一ヶ月記念日らしく、サイがそれを忘れてしまったらしい。
いの「マホはどう思う?!」
『どうって言われても、そういうの経験ないから分からないよ…』
いの「あー、マホに相談したのが間違いだったわ!アンタは物心ついた頃からいつだって任務ばっかりだったんだから!」
『でも、里の状況が状況だったじゃないの』
いの「そんなこと言ってるとね、婚期逃すよ?!ヒナタだってナルトのハートを射止めたし、あのチョウジだって今や他里の女の子と良い感じになってるのよ!」
『ええっ!そうなの?!』
全然知らなかった。。。
それからというもの、いのの私への説教に始まり、結局サイの事が大好きでベロンベロンに酔っ払ったラブラブな二人を見せつけられ、その様子を呆然と眺めるしかなかった。
「…おい、何やってんだ」
『あ、シカマル。どうしてここに…?』
「…帰りにここを通ってみれば、いのの声が店の外まで聞こえてたから。とりあえずマホ、抜けるぞ」
『あ、うん』
こんなに遅くまで仕事をしていたのか訪ねると、まあ、今日は早い方だな、なんて淡々と話すもんだから、やっぱり火影邸に勤める人は違うなあと、改めて関心した。
「あいつらああなると収集つかねーんだよ。隙を見て抜けるのが得策だな」
『そうなんだ…。てか、シカマルはいのたちの関係知ってたの?』
「知ってるも何も、見てりゃ分かるだろ」
『えー…知らなかったの、私だけ…?』
「…お前、昔から鈍感だもんな」
『そうかな?…だって縁がないし……』
そういえば、いのはチョウジの話はしても、シカマルの話はしていなかった。
『でも、シカマルだって、彼女いないでしょう?』
「…まあな。
けど、好きな奴くらいはいる」
『え。そうなの……?』
「まあ、どうせ無理な相手だから、別にどうもしないけどよ」
『そう、なんだ……』
長い間一緒にいて全然知らなかった。
まあ、そんな話することなんてなかったから当たり前なんだろうけど。
無理な相手って、一体、どんな女性なんだろう。
ずっと年上?…それとも、彼氏がいるような人とか……?
…そんなことより、頭のなかで何かがつっかえているような、気持ち悪いような、この気分は何なんだろう。
単なる飲み過ぎかな…?
『…なんか、飲み過ぎたみたい。早く帰って寝るね』
「おう、じゃあな。」
そう言って別れたものの、この気分が翌日になっても晴れることはなかった。