Novel

□『恋心』
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渡辺side


最近、すごく変。

私の心臓が、なんか、おかしい。


うまく説明できないけど、
心臓が急に、
ドクドクって激しく動く。

『それ』は、
長く続くときもあれば、すぐ終わったりするときもある。

そして、
最近になって気づいたことがある。

それは、
まなかの前でしか起こらないってこと。

だからと言って、まなかが悪いとかじゃないんだけど、
まなかが近づくとそれが起こって。

長時間それに耐えることができなくて、
まなかから少し離れてみたり。
すぐに会話を終わらせて逃げてしまったり。

そのせいでまなかとたくさん喋れない。
もっといっぱいお喋りしたいのに。



どうしたのかな、私の体。

変な病気とかじゃないよね、、、



すごく不安になって、誰かに聞いてほしくなった。

最初に思い浮かんだのは、
頭が良くてしっかりしてるあかねん。

すごく頼れる存在の一人だから。

部屋のベッドでニコニコ笑ってるアオコを連れて、部屋を出る。

あかねんの部屋はよく行くけど、
こんなに足取りが重いのは初めて。

でも、相談すればもしかしたら何かわかるかもしれないし、いいアドバイスも聞けるかも。

そう思ったら、少しだけ気が楽になって、歩く速度もいつも通りになってた。

あかねんの部屋の前で立ち止まる。

アオコを抱きしめながら、あかねんの部屋をノックした。

「あれ、ぺーちゃんどうしたの?」

「んん、ちょっと、、あかねんに相談したいことがあって、、」

「そっか。いいよ、入って。」

出てくれたあかねんは、もう寝ようとしてたのか可愛いパジャマを着てた。

なんか申し訳なく思っていたけど、
あかねんはそのことに気づいてくれたのか、

まだ寝るつもりじゃなかったから大丈夫だよ、
と優しく笑ってくれた。

その優しさに心があったかくなる。

でも、あの心臓のドクドクは起こらない。
やっぱり、まなかの近くでしか起こらないみたい。


あかねんのベッドにもたれて、床に座る。
あかねんも同じようにして、私の隣に座ってくれた。

「相談、あるんでしょ?」

「ぅん、少し長くなったらごめんね。」

そう言うと、
あかねんはさっきみたいに大丈夫だよって優しく言ってくれた。

私は、あかねんの横でそのことを話す。


急に心臓がドクドクと激しくなること。

それが長時間続いたり、すぐに終わることもあるということ。

そして、
それらはまなかの近くで起こるってこと。


話すのは苦手だから、
たどたどしかったかもしれないけど、

それで悩んでいることを頑張って伝えた。

話の途中、あかねんは目を大きく見開いて驚いているみたいだったけど、

話が終わると、
なぜか優しく笑ってた。

「これって、何かの病気かな?
病院行ったほうがいいかな?」

「ふふっ、たぶんそれ病気じゃないよ。
ううん、たぶんっていうか、絶対。」

「えっ!でも、病気じゃないなら、、、」

「絶対平気だよ。

だって、私もそうだもん。」

あかねんの言葉にびっくりする。


どういうこと、、
あかねんも私と同じだったなんて、、


「あかねんも一緒なの?」

「うん!全く一緒!」

「あかねんもまなかの近くに行くと、
そうなるの?」

「うーん、
私は愛佳じゃないけどね。」

「どういうこと?
あかねんはまなかの近くにいっても起こらないの?
でも、これってなんなのかな?
治るのかな?」

あかねんは、ふふっと笑って答えてくれた。

「ごめんね、これが何かは言えないかな。
私は、ちゃんとべりか自身で気づくべきだと思うから。」

がんばってそんなに良くない頭で考えてみる。


うぅ、、だめだ、、
ぜんぜんわかんないよ、、、、


「んん、やっぱわかんない。」

「ふふっ、じゃぁ、ヒント教えてあげる。
私は愛佳じゃなくて、友香の前で起こるかな。」

「友香ちゃん?」

「うん。あともうひとつ。
それは、『ドクドク』じゃなくて、
『ドキドキ』じゃないかな。」

それだけ、と言って私の頭を撫でてくれた。

むっ、私の方が年上なのに、、

そうは思ってても、
気持ちよくておとなしくなる。

撫でられてたら、あかねんが
やっと進展するかもって不思議なことを呟いてた。


「んん、じゃぁそろそろ部屋戻るね。
聞いてくれてありがとう。
もう少し考えてみるね」

「うん!じゃあおやすみ。」


あかねんにお礼を言って部屋に戻る。



病気じゃなくてよかったけど、
『ドキドキ』ってどういう意味だろう。

『ドクドク』と『ドキドキ』って、
何か違うのかな?

あかねんは私と同じように友香ちゃんに対してそれが起こるって、
どういうことなんだろう?

まなかと友香ちゃんには
みんなと違って何か特別な秘密があるのかな?

でも、その秘密って、、、、?

部屋に戻っている間にも、
部屋に着いてからも、ずっと考えていたけれど、
結局なにもわかんなかった。




私が知らない『それ』を、

いつか気づく日なんて本当に来るのかな。





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