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□2年前の約束
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「まーくん」

そう,後ろから声がして,俺は振り返った。
後ろには,黒く綺麗な髪色に澄んだ赤色の目をした男子がいた。
その顔立ちは綺麗で,,しかし,とても眠そうな目をしている。
彼は俺の幼馴染みの凛月。ちょっと変わっていて,自称吸血鬼だ。

「凛月,どうしたんだ?」

俺は凛月に近づくと,そう問いかけた。 

「まーくんを探しにきたの」

凛月はそう言うと,俺の手を引っ張る。
“何処に行くのか”と問いかけると,凛月は“内緒”と答えた。

数十分歩くと人気のない林のような所に来た。
もう,辺りは薄暗く少し,寂しい感じがした。
更に林の奥へ進んで行くと小さな池があった。どこか見たことのある景色だった。
その池の周りには蛍が2,3羽飛び回っている。

「ねぇ,覚えてる?2年前,まーくんと二人で此処に来たこと。」

「ん?あー,あれか」

「そう,二人で家出してさ,此処に逃げてきて二人で暮らそうって。」

“そんなこともあったな”と俺は思う。

あのときの“二人で暮らそう”って言うのは本音だ。
別に親から離れたいとか…そういうのじゃなくてもっと…こう…。

「まーくん、僕,本気だよ?一緒に暮らそうって言うの。」

案の定,凛月も同じことを考えていたらしく,そう言うと俺の手を握ってきた。
そして,そのまま話を続ける。

「だって…学校とか同じだし,不便な事なんて何もないよ」

「うん,分かってる。俺も同じこと思ってたし」

「へぇ〜,じゃあ,此れも同じ…?」

凛月はにやっと笑うと,俺の耳元で囁く。

「まーくんが大好き」

俺は少しだけ,間を置いて

「一緒…」

と,静かに呟いた。



▼▽END▼▽
 

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