ー短編ー
□秘密です。
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今日は天気も良く空気も澄み渡っていますね。
自室の扉を開ければ良く晴れた今日の日。
絶好の洗濯日和だ。
最近は纏めないといけない書類やら仕事が沢山で部屋からあまり出ませんでしたし…
部屋の扉を締め、城の廊下にでれば眩しさに少し目を細める。
景持「少し散歩でもして来ましょう。」
今は春。
城の庭には色々な花が咲き乱れている。
長い髪を風になびかせながら城の庭にやってくると予想外の人物にであった。
景持「謙信…様?」
謙信「ん?…あぁ、景持か。良く眠れたか?」
景持「はい。おかげ様で。謙信様もお休みになられましたか?」
謙信「あぁ。問題ない。」
景持「それはようございました。」
こちらへ優しく微笑んでくれるのは我が主、上杉謙信様。
家臣を気づかってくれるのは勿論の事、その誠実さ故に、民からも家臣からも愛されるお人柄。
景持「ふふ。花に囲まれている謙信様は絵になりますね。」
謙信「ふっ。…それは私より景持。お前にこそ当てはまるがな。」
景持「おや。それは有り難いお言葉ですね。…所で、謙信様。朝早くから庭にいらっしゃるなんて何かありましたか?」
そう問えば表情を少ししかめる。
謙信「いや、なに。大したことはないんだが…名無しさんがあまり元気がないので庭の花でも摘んで行こうかと、な。」
名無しさんと名前を聞いて景持の耳がぴくっと反応する。
謙信様が?あの子に?
謙信「しかし、景持が来てくれたなら話しは別だ。如何せん私はこうゆう事には不慣れ故、代わりに名無しさんに花を摘んで行ってはくれまいか。」
景持「…承知いたしました」
そう笑顔で答えれば安心したのか「「頼んだ。」」と1言残し去ってしまわれた謙信様。
景持「…ふぅ。」
短くため息を付けば思わぬ恋敵に複雑な心境だ。
我が主と言えどこればかりは譲りたくない。
景持「…さて。任された事ですしあの子の元へ行きましょうかね。」