夢小説集@
□other
1ページ/3ページ
さよならに笑って
最悪の形で別れた幼馴染が目の前にいた。
彼女は生前かけていた眼鏡がないため、とても幼く見える。
そして表情から狂気は一切感じられず、扉の前でこちらを見据えている。
「ねぎ」
いま、満はねぎがまだ生きていると錯覚していた。
周囲はもう既に崩れ始め、火は館全体に回り切っている。
「ねぎも、一緒に」
ねぎは首を横に振った。
声は聞こえず、何かを伝えようとしている。
だが、満はそれを理解した。
何年何十年と共に過ごした幼馴染が言いそうなことなんて、俺が一番よく分かっているじゃないか。
階段を駆け下りて、透明な体を抱き締めようとするもすり抜けてしまう。わかっていたけれど、虚しい。
ねぎは驚いたような顔で満の頬を包み込むように両手を添えた。
満はぎこちなく笑い、白い光が満を包んだ。
それから館から出た後の記憶はない。
だが、ねぎの言っていたことは覚えている。
確かに「わらって」と、言っていたのだった。
▼タイトルは「ふたりへのお題ったー」様から