夢小説集@

□other
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さよならに笑って


最悪の形で別れた幼馴染が目の前にいた。
彼女は生前かけていた眼鏡がないため、とても幼く見える。
そして表情から狂気は一切感じられず、扉の前でこちらを見据えている。

「ねぎ」

いま、満はねぎがまだ生きていると錯覚していた。
周囲はもう既に崩れ始め、火は館全体に回り切っている。

「ねぎも、一緒に」

ねぎは首を横に振った。

声は聞こえず、何かを伝えようとしている。
だが、満はそれを理解した。

何年何十年と共に過ごした幼馴染が言いそうなことなんて、俺が一番よく分かっているじゃないか。

階段を駆け下りて、透明な体を抱き締めようとするもすり抜けてしまう。わかっていたけれど、虚しい。

ねぎは驚いたような顔で満の頬を包み込むように両手を添えた。
満はぎこちなく笑い、白い光が満を包んだ。

それから館から出た後の記憶はない。

だが、ねぎの言っていたことは覚えている。
確かに「わらって」と、言っていたのだった。


▼タイトルは「ふたりへのお題ったー」様から

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