夢部屋

□*捕まえたい
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「今日も来てるぞ。」
「いつもの事だ。気にするな」

実習の帰り道、前を向きながら話す仙蔵とまたか、と思い"あれ"の方向は見ないようにする文次郎。

「もういい加減にしたらどうだ?あんなにまとわりつく奴なんて、文次郎を殺そうとするやつ以外で一生出てこんだろう。」
仙蔵はさらりと毒を吐いてくれた。

「はぁ。あいつがまともなやつだったらな」
文次郎は呆れて溜息を吐き頭をかく。

「そうか、見た目は悪くはないしな。では、文次郎。お前はどういう奴ならよかったのだ?」
仙蔵は笑みを浮かべ珍しくどこか楽しげだ。

「は?そもそも忍びたるも…
『いいから答えろ』」
仙蔵の言ったことは絶対、という暗黙のルールが存在しているのではないかと常々思う。

「……女らしい、しおらしい子。料理も上手くて文句も言わない、守りたくなるような子なら考えてやってもいい」
あいつ、名無しさんとは逆のことを言ってやったつもりだ。

「お前が上からなのが気に食わん。好かれるだけでありがたいと思え」
「…何なんだ、お前は」

ふむ、と考え込んだと思えば
「少し程……変態じみててもいいか?」
と聞いてきた。

「ダメに決まってんだろ」

文次郎は迷いもなく即答した。
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