夢部屋
□*捕まえたい
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「ありがとう、文次郎。」
名無しさんはおとなしく入り、文次郎は名無しさんの肩まで布団をかけてやる。
くノ一は危険だ。腹黒いし、嫌味なやつらだ。こいつももしかして俺を騙そうとしているのでは?とずっと思い避けてきた。
自分に好意を持つ理由もわからん。
今までの行動もおちょくってるのかと疑ってきていた。
(何故、俺なんだ……)
その理由が知りたい。実際、好きだと言われたわけでもないのだ。
「……やめろ。バカタレ。」
彼女を布団に入れて、20秒ほどで文次郎は後悔した。
こいつはこいつだった。
脚を絡め、手は身体をまさぐり、名無しさんの胸が当たるほど身体を密着させられていた。
「だって…もんじ。こんな状況、美味しすぎるよ。ねぇ、もんじ、もう1回言って?
バカタレって。
久しぶりすぎて、きゅんってきちゃった。
…責任とってね?」
「バカタレッ!煩いわッ!!
…ちょッ、どこ触ってるんだ!!」
『お前が煩い!!』
仙蔵に怒られた。
「だいたい、1回くらい抱いてやったらどうなんだッ!
そうしたらこいつも落ち着くだろうッ」
そうして仙蔵は枕を持ち、伊作たちの部屋に行くと言って出ていってしまった。
「うふふ…二人っきりになったね、もんじ。
大好きだよ.…文次郎。」
布団の中の彼女は頬染め、文次郎を見上げた。
(俺は今日こそ、こいつに負ける気がする)